Full transcript
0:00総合 判断 です 。 高瀬 ゆみ さん は そう 言っ て
0:04が 面 から 目 を そらし まし た 。 年末 の 商与
0:07明細 に は 私 だけ 0円 。 来年 も イタリア 担当
0:11だ と 予定 表 に は 残っ て いる の に 説明 は あり
0:14ませ ん 。 この 場 で 声 を 荒げ て も 理由 の ない
0:17処遇 は 何 も 動き ませ ん 。 受付 横 の 観葉 植物
0:21の 影 が 足元 で 静か に 揺れ て い まし た 。
0:25ENISHI へ お 越し いただき ありがとう
0:28ござい ます 。 ナ の 物語 を 最後 まで 見守っ て
0:32いただけれ ば 幸い です 。 私 は その 影 を 見 た
0:36まま 迷彩 の 画面 を 閉じ られ ませ ん でし た 。
0:39目 の 前 に いる の は 人事 担当 課長 の 高瀬 ゆ
0:42さん です 。 それ で も その 日 の 高瀬 さん は
0:46書類 の 橋 を 指 で 抑え た まま 私 の 目 を 見よう
0:49と し ませ ん でし た 。 確認 だけ さ せ て
0:53ください 。 私 は 声 を 低く し まし た 。 の 子宮
0:57額 が 私 だけ 0円 と いう 売り替え で あっ て い
0:59ます か ? 高瀬 さん は 机 の 上 の 内線 電話 1度
1:03だけ 視線 を 落とし まし た 。 はい 。 短い 返事
1:07でし た 。 入力 ミス で は ない ん です ね 。 入力
1:11ミス で は あり ませ ん 。 その 2 つ の 返事 で 私
1:14の 中 に 残っ て い た 小さな 逃げ道 が 消え まし
1:17た 。 何か の 表示 不 具合 か も しれ ない 。 証人
1:20の 途中 か も しれ ない 。 そう 思っ て 私 は 朝
1:24から 何 度 も が 面 を 更新 し て い まし た けれど
1:27も 人事 の 窓口 で 確認 さ れ た 以上 は 会社 の
1:31正式 な 処遇 でし た 。 理由 を 教え て ください
1:34。 私 は 画面 を スマート フォン で 取る よう な
1:37こと は し ませ ん でし た 。 会社 の 規則 に
1:40触れる こと は し たく なかっ た から です 。
1:42代わり に 迷彩 番号 と 表示 時刻 を 自分 の 手帳
1:46に 書き止め まし た 。 高瀬 さん は その 動き を
1:49見 て 少し だけ 肩 を 固く し まし た 。 個別 の
1:52評価 は お 答え でき ませ ん 。 評価 が 一著しく
1:57悪かっ た と いう こと です か ? 総合 判断 です
2:00。 同じ 言葉 でし た 。 私 は そこ で 初めて 息 を
2:04吸直し まし た 。 17 年間 神や インテリア で
2:08働い て き まし た 。 私 は 海外 調達 部 の 材料 や
2:12家具 を 扱う 仕事 を し て い まし た 。 その うち
2:1511 年間 は イタリア の 工防 や メーカー を
2:18担当 し て い まし た 。 部長 で も 役員 で も あり
2:21ませ ん 。 けれど
2:24まで 連絡 を 取り 、 川 の 色 が 違っ た 時 に 大体
2:28品 を 探し 、 港 で 止まっ た 荷物 の 書類 を 揃え
2:31た の は 私 の 仕事 でし た 。 その 年 も 聴会 は
2:35あり ませ ん でし た 。 警告 も あり ませ ん でし
2:38た 。 担当 を 外す 話 も あり ませ ん でし た 。 来
2:42年度 の 担当 予定 に つい て も 確認 でき ます か
2:45? 私 が そう 言う と 高瀬 さん は 少し 困っ た 顔
2:49を し まし た 。 信事 で は そこ まで は で は 部署
2:53で 確認 し ます 。 私 は 手帳 を 閉じ まし た 。
2:57怒り を ぶつける なら この 場 で は ない と 思い
2:59まし た 。 高瀬 さん が 決め た こと で は ない か
3:02も しれ ませ ん 。 それ に 理由 を 持た ない 人 を
3:05責め て も 帰っ て くる の は 同じ 言葉 だけ です
3:08。 私 は 立ち上がり 椅子 を 机 の 下 へ 戻し まし
3:12た 。 高瀬 さん が 何か 言いかけ まし た けれど
3:16声 に は なり ませ ん でし た 。 海外 調達 部 の
3:19部屋 へ 戻る と いつ も の ざめき が あり まし た
3:22。 誰 も 私 の 迷彩 を 知り ませ ん 。 知っ て いる
3:26と し て も 声 に は 出せ ない 空気 が あり まし た
3:29。 私 は 自分 の 席 に 座り 、 まず 車内 の 予定 表
3:33を 開き まし た 。 1 月 の 欄 に イタリア 急者 の
3:36契約 更新 打ち合わせ が 並ん で い まし た 。 2
3:39月 に は 川 メーカー と の 価格 改定 。 3 月 に は
3:44ホテル 向け と 口中 家具 の 使用 確認 。 担当 者
3:47欄 は どれ も 私 の 名前 でし た 。 藤崎 レイ奈 。
3:51その 4 文字 だけ が いつ も と 同じ よう に 置か
3:54れ て い まし た 。 評価 は ゼロ 、 仕事 は 継続 。
3:58その 2 つ が 同じ 画面 の 中 で 並ん だ 時 、 胸 の
4:02奥 に あっ た もの が 冷たく 固まり まし た 。 隣
4:05の 席 の 小寺 まゆ さん が 資料 の 束 を 抱え て
4:08戻っ て き まし た 。 藤崎 さん 、 午後 の
4:11イタリア 瓶 の 確認 先 に 回し て も 大丈夫 です
4:14か ? いつ も 通り の 声 でし た 。 彼女 は 来年
4:18から 私 の 補佐 を 増やす 予定 に なっ て いる
4:21社員 です 。 私 は 小寺 さん の 顔 を 見 て すぐ に
4:24は 返事 が でき ませ ん でし た 。 この 人 に 罪 は
4:27あり ませ ん 。 会社 の 判断 と 現場 で 働く 人 を
4:31同じ に し て は いけ ませ ん 。 大丈夫 です 。 私
4:35は 書類 を 受け取り まし た 。 ただ 確認 し た
4:38結果 は 必ず メール に も 残し て ください 。
4:41小寺 さん は 少し 目 を 丸く し まし た 。 いつ も
4:45より 細かく です か ? ええ 、 私 は 頷き まし た
4:49。 年末 は 後 で 見返せる 形 に し て おい た 方 が
4:53安全 です 。 自分 で 言い ながら その 言葉 が
4:56私自身 へ 向い て いる の を 感じ まし た 。 午後
4:59大橋 部長 が 戻っ て き まし た 。 灰色 の コート
5:03を 椅子 に かける と いつ も の よう に 予定 表 を
5:06見 ながら 言い まし た 。 藤崎 さん 、 来年 の
5:09イタリア 聞き続き 頼む よ 。 その 言葉 は
5:13あまり に 自然 でし た 。 私 は 机 の 上 の 手帳 へ
5:17視線 を 落とし まし た 。 高瀬 さん の 言葉 、
5:200円 と いう 数字 、 担当 予定 表 の 私 の 名前 。
5:24それ ら が 順番 に 並び まし た 。 部長 何 ? 大橋
5:29部長 は パソコン を 開き ながら 返事 を し まし
5:32た 。 来年 も 私 は イタリア 担当 と いう こと で
5:36確定 です か ? もちろん だ よ 。 部長 は こちら
5:39を 水 に 言い まし た 。 あの 旧者 は 藤崎 さん が
5:431番 は 勝っ て いる から 私 は 頷き まし た 。
5:47それ 以上 は その 場 で 聞き ませ ん でし た 。
5:50なぜ なら 今 の 言葉 だけ で 十分 だっ た から
5:53です 。 会社 は 私 の 仕事 を 必要 と し て い まし
5:57た けれど 、 その 仕事 を し て いる 私自身 に は
6:010円 で 良い と 判断 し て い まし た 。 修業 時間
6:04を 過ぎ て も 私 は すぐ に は 席 を 立ち ませ ん
6:07でし た 。 社員 が 1人 、 また 1人 と 帰っ て
6:11行き まし た 。 私 は 車内 システム から 自分 の
6:14商与 明迷彩 を 正式 な 手順 で 印刷 し まし た 。
6:17印刷 美事 が 入っ た 紙 を クリア ファイル へ
6:20入れ まし た 。 それ から 来年 の 担当 予定 表 も
6:24印刷 し まし た 。 誰 か を 責める ため で は あり
6:26ませ ん 。 自分 が 何 を 見 て 、 何 を 確認 し た の
6:30か を 後 で 自分 に 嘘 を つか ない ため でし た 。
6:33髪 を 重ね た 時 手 の 震え は あり ませ ん でし た
6:36。 ただ 指先 が 少し 冷え て い まし た 。 帰り木
6:40は 大橋 部長 が まだ 残っ て い まし た 。 藤崎
6:44さん 、 顔色 悪い けど 大丈夫 か ? 大丈夫 です
6:48。 私 は 鞄 の 持ち手 を 握り まし た 。 その 言葉
6:52は 相手 を 安心 さ せる ため で は あり ませ ん
6:55でし た 。 これ 以上 この 場 で 何 も 差し出さ
6:58ない ため の 返事 でし た 。 無理 する な よ 。 私
7:01は 軽く 頭 を 下げ まし た 。 廊下 を 歩き ながら
7:06背中 に 残る 会社 の 明り を 感じ まし た 。 17
7:09年間 朝 も 夜 も この 明り の 中 に 自分 の 居 場所
7:13が ある と 思っ て い まし た けれど その 夜 だけ
7:16は 違い まし た 。 明り は 私 を 照らし て いる の
7:19で は なく 、 私 を 当然 の よう に 使う 場所 を
7:22照らし て いる だけ に 見え まし た 。 ビル を
7:24出る と 冷たい 風 が に 当たり まし た 。 私 は
7:28立ち止まり 、 鞄 の 中 の クリア ファイル を 指
7:31で 確かめ まし た 。 商与 明細 、 担当 予定 表 、
7:35人事 の 返答 を 残し た 手帳 。 たった それ だけ
7:38です けれど 、 その 3 つ が 揃っ た こと で 私 の
7:42中 の 疑い は 終わり まし た 。 これ は 間違い で
7:45は あり ませ ん 。 と し て 私 は もう 今 まで と
7:49同じ 気持ち で は 会社 へ 戻れ ませ ん 。 その 夜
7:53私 は 家 へ 帰っ たら 最初 に する こと を 決め
7:55まし た 。 商与 の 講義 分 を 書く の で は あり
7:58ませ ん 。 退職 まで に 必要 な もの を 静か に
8:01並べる こと でし た 。 翌朝 私 は いつ も より
8:0515 分 早く 会社 に 着き まし た 。 まだ 人 の
8:08少ない 海外 調達 部 は 空調 の 音 だけ が 目立っ
8:11て い まし た 。 自分 の 席 に 座る 前 に 共有棚 の
8:15前 で 足 を 止め まし た 。 イタリア 案件 の
8:18ファイル は 今年 の 分 だけ で 3 冊 あり ます 。
8:21世教紙 に 貼っ た 小さな ラベル は どれ も 私 が
8:24作っ た もの でし た 。 私 は 1 冊 ずつ 取り出し
8:27、 来年 の 更新 時期 を 付箋 に 書き まし た 。 1
8:31月 下旬 、 2 月 上旬 、 3 月 の 初め 、 それぞれ
8:36の 横 に 確認 が 必要 な 条件 を 短くし まし た 。
8:40価格 、 最低 数 量 品質 保障 、 生産 枠 今 まで は
8:45頭 の 中 で 繋がっ て い た もの を 他人 が 見 て も
8:49終える 形 に 変える ため でし た 。 8 時 半 を
8:51過ぎる と 社員 が 少し ずつ 席 に 着き まし た 。
8:55小寺 まゆ さん が 湯 の 立つか コップ を 机 に
8:58置き まし た 。 藤崎 さん 、 朝 から 猛こ 新評
9:02です か ? ええ 、 私 は 付箋 を 張り ながら 答え
9:05まし た 。 来月 から 重なり ます から 。 昨日 の
9:09午後 部長 も 言っ て い まし た 。 小寺 さん は 声
9:12を 少し 落とし まし た 。 来年 は 藤崎 さん に
9:16かなり 頼る 形 に な るって 。 その 言葉 に 私 は
9:20手 を 止め ませ ん でし た 。 頼る 。 その いご
9:23だけ なら 仕事 と し て ありがたい 言葉 です 。
9:26けれど 昨日 の 迷彩 を 見 た 後 で は 別 の 意味 を
9:30持っ て 聞こえ まし た 。 頼る 相手 に 理由 も
9:33言わ ず 0円 を 出す 。 それ が この 会社 の 総合
9:37判断 でし た 。 デラ さん 。 はい 。 これ から 私
9:41が 送る 確認 事項 は 高等 で は なく 、 必ず
9:45メール で 返信 し て ください 。 小寺 さん は 紙
9:48コップ を 両手 で 包ん だ まま 頷き まし た 。
9:51わかり まし た 。 彼女 は 理由 を 聞き ませ ん
9:54でし た 。 午前 10 時 過ぎ に 大橋 誠部 長 に 声
9:57を かけ られ まし た 。 藤崎 さん 、 少し 時間
10:01いい か な ? 会議 室 で は なく 窓際 の
10:04打ち合わせ 席 でし た 。 人 に 聞こえ すぎ ず
10:07記録 に も 残り にくい 場所 です 。 私 は 手帳 と
10:11ペン を 持っ て 向かい まし た 。 大橋 部長 は 私
10:14の 手帳 に 目 を やり まし た 。 そんな 改まっ た
10:17話 じゃ ない よ 。 念 の ため です 。 私 は ペン 先
10:21を 紙 に 置き まし た 。 来 年度 の 担当 範囲 を
10:24確認 し て おき たく て 部長 は 予定 表 を 広げ
10:28まし た 。 イタリア 急者 は これ まで 通り 藤崎
10:31さん 、 細沢 小寺 さん です か ? そう 、 最終
10:35判断 は 当面 は 藤崎 さん に 見 て もらう 。 私 は
10:40その 言葉 を その まま 書き まし た 。 部長 が
10:43少し 前 を 寄せ まし た 。 何か あっ た の ? 私 は
10:47ペン を 止め まし た 。 ここ で 少与 の 話 を 出せ
10:50ば 部長 は 困る でしょう 。 で も 確認 し ない
10:54まま 黙っ て いれ ば 私 は また 会社 の 都合 に
10:57沈み ます 。
10:59人事 に 商与 の 件 を 確認 し まし た 。 大橋 部長
11:02の 表情 が そこ で 初めて 変わり まし た 。 商用
11:07子宮 額 は 0円 でし た 。 部長 は すぐ に は 返事
11:10を し ませ ん でし た 。 窓 の 外 を 通る 宅配 者 を
11:14意味 も なく 目 で 追っ て いる よう でし た 。
11:17それ は 何か の 調整 じゃ ない の か 。 人事 から
11:20入力 ミス で は ない と 確認 し て い ます 。 私 は
11:24攻める 口調 に なら ない よう に 気 を つけ まし
11:26た 。 理由 は 総合 判断 と の こと でし た 。 部長
11:30は 口元 に 手 を 当て まし た 。 その 仕草 で 部長
11:34も 細か な 理由 を 知ら なかっ た の だ と 分かり
11:37まし た 。 部長 、 私 は 予定 表 の 1 月 の ラ を 指
11:41で 抑え まし た 。 評価 と し て 0円 なら 来 年度
11:45の 担当 も 見直さ れる べき で は あり ませ ん か
11:47。 部長 は 困っ た よう に 首 を 横 へ 降り まし た
11:50。 それ は 違う よ 。 う と は あの 旧者 は 藤崎
11:56さん じゃ ない と 回ら ない 。 私 は その 言葉 を
11:59聞い た 瞬間 手帳 の 上 で ペン を 止め まし た 。
12:03昨日 の 夜 私 が 感じ た 矛盾 を 部長 自身 が 口 に
12:07し た から です 。 で は 私 は 回す 必要 が ある
12:11仕事 を 任さ れ ながら 商与 は 0円 と いう こと
12:14です ね 。 部長 は 答え ませ ん でし た 。 沈黙 は
12:18規定 より はっきり し て い まし た 。 私 は 手帳
12:21を 閉じ まし た 。 わかり まし た 。 藤崎 さん 。
12:25部長 の 声 は 低く なり まし た 。 年末 だ から
12:29あまり 大きく し ない 方 が いい 。 それ が その
12:32日 2 つ 目 の 屈辱 でし た 。 私 の 処遇 より 年末
12:36の 波風 の 方 が 先 に 置か れ た の です けれど 私
12:40は 言い返し ませ ん でし た 。 承知 し まし た 。
12:43その 言葉 だけ を 残し 席 へ 戻り まし た 。
12:47昼休み 急室 で 声 が 聞こえ まし た 。 若い 社員
12:51が 今年 の 商与 で 家電 を 買う 話 を し て い まし
12:54た 。 別 の 社員 は 親 を 温泉 へ 連れ て いく と
12:57言っ て い まし た 。 私 は 廊下 の 手前 で 足 を
13:00止め まし た 。 誰 も 悪く あり ませ ん 。 普通 に
13:03働き 、 普通 に 受け取っ た だけ です 。 それ で
13:07も その 会話 の 中 へ 入る こと は でき ませ ん
13:09でし た 。 自動 販売 機 で 温かい お 茶 を 買い 、
13:13非常 階段 の 踊り場 へ 向かい まし た 。 私 は
13:16スマート フォン を 開き 、 住宅 ローン の 残高
13:19を 確認 し まし た 。 まだ 軽い 金額 で は あり
13:22ませ ん 。 毎月 の 返済 、 管理 費 、 車 の 維持 費
13:26、 母 が 亡くなっ て から 1人 で 保っ て き た
13:30生活 、 怒り だけ で 動け ば 全部 が 崩れる か も
13:33しれ ませ ん 。 だ から こそ 私 は 感情 で は なく
13:37順番 で 動く 必要 が あり まし た 。 午後 私 は
13:40最初 の 小さな 対応 を し まし た 。 車内 の 申請
13:44フォーム から 担当 業務 範囲 の 確認 を 依頼 し
13:47まし た 。 超与 の 異義 申し立て で は あり ませ
13:50ん 。 その 制度 が 形 だけ だ と 知っ て い た から
13:53です 。 私 は 来年度 も イタリア 急者 の 担当 な
13:56の か 。 公認 育成 の 責任 は 誰 に ある の か 。
14:00更新 交渉 の 最終 証任 者 は 誰 な の か 。 それ を
14:04文書 で 確認 し たい と 書き まし た 。 送信
14:07ボタン を 押す 前 に 何 度 も 文面 を 読み直し
14:10まし た 。 攻撃 的 な 言葉 は 入れ ませ ん でし た
14:13。 感情 も 入れ ませ ん でし た 。 事実 だけ を
14:16並べ まし た 。 等信号 受付 番号 が 表示 さ れ
14:20まし た 。 私 は その 番号 を 手帳 に 書き まし た
14:23。 小さな 番号 でし た けれど 高等 で 流さ れ て
14:27い た もの が 初めて 会社 の 記録 に 残り まし た
14:30。 夕方 小寺 さん から メール が 届き まし た 。
14:34イタリア の 確認 結果 が 要点 ごと に 整理 さ れ
14:38て い まし た 。 最後 に 短い 一分 が あり まし た
14:41。 藤崎 さん の 確認 手順 も 今後 の 参考 に 残し
14:45て おき ます 。 私 は その 文 を 読ん で すぐ に
14:49返信 し まし た 。 ありがとう ござい ます 。
14:52次回 から は 相手 先 の 回答 も 入れ て ください
14:55。 それ だけ です 。 余計 な こと は 書き ませ ん
14:58でし た けれど 、 その メール を 保存
15:01フォルダー に 移し た 時 1 つ 決まり まし た 。
15:04私 の 仕事 を 私 だけ の 記憶 に 閉じ込め て おく
15:07の は やめ ます 。 必要 な もの は 残し ます 。
15:10ただし 私自身 を 会社 に 残す か どう か は 別 の
15:15問題 です 。 その 夜 家 に 帰る と 玄関 の 明り が
15:19いつ も より 白く 見え まし た 。 靴 を 揃え
15:22コート を かけ 、 台所 で お 湯 を 沸かし まし た
15:25。 湯 の 向こう に 冷蔵 庫 へ 張っ た 住宅 ローン
15:29の 返済 表 が 見え まし た 。 私 は それ を 外し
15:33食卓 へ 置き まし た 。 次 に 車検 の 書類 を 出し
15:36まし た 。 マンション の 権利 症 の 場所 も 確認
15:39し まし た 。 まだ 何 も 売る と 決め た わけ で は
15:42あり ませ ん 。 それ で も 選択 肢 を 知ら ない
15:45まま 会社 へ が 見つく の は もう 嫌 でし た 。
15:48ノート の 1 ページ 目 に 退職 まで に 確認 する
15:51こと と 書き まし た 。 会社 へ 返す もの
15:55引き継ぎ 資料 住宅 老音 車 イタリア の 日 を
16:00牡蠣 を 得 た 時 台所 の 湯 が 静か に 湧い て い
16:03まし た 。 私 は 火 を 止め ノート を 閉じ ませ ん
16:07でし た 。 翌朝 私 は ノート を 会社 へ 持っ て
16:10いき まし た 。 前 の 夜 に 書い た 確認 事項 は
16:14まだ 走りき の まま でし た 。 それ で も 机 の 上
16:17に 置く と 気持ち だけ は 少し 整い まし た 。
16:21昨日 まで の 私 は 頭 の 中 で 仕事 を 組み立て て
16:24い まし た 。 誰 に 何 を 聞く か 、 どの 会社 は
16:27返事 が 遅い か 、 どの 条件 を 先 に 触る と 相手
16:31が 固く なる か 、 そう いう もの を 毎年 の 経験
16:34で 覚え て い た の です 。 けれど 会社 が 私 の
16:38仕事 を 0円 で 良い と 判断 し た 以上 、 私 の
16:41記憶 だけ に 頼ら せる 理由 は あり ませ ん でし
16:43た 。 修行 前 、 私 は イタリア 急者 の 契約 書 を
16:471 冊 ずつ 開き まし た 。 古い 紙 の 橋 に は 何 度
16:51も めくっ た 後 が あり ます 。 契約 書 その もの
16:54は 共有棚 に きちんと 残っ て い まし た 。 問題
16:58は その 横 に ある 細か な 事情 でし た 。 例えば
17:02川 を 扱う 一社 は 価格 を 下げ た 年 に 最低 数 量
17:05を 少し 増やし まし た 。 その 代わり の 追加
17:09注文 を 受け て もらえる よう に なり まし た 。
17:12別 の 金属 部品 の 会社 は 品質 保障 の 範囲 を
17:15広げる 代わり に 半年 先 の 生産 枠 を 固定 し て
17:18い まし た 。 数字 だけ を 見る と どちら も
17:22小さな 情報 に 見え ます 。 しかし 片方 だけ を
17:25動かす と 相手 が 守っ て いる 再散 が 崩れ ます
17:28。 私 は その こと を 表 の 美行 欄 へ 短く 書き
17:32まし た 。 価格 だけ で 判断 し ない こと 、 最低
17:36数量 と 納期 を 同時 に 見る こと 。 この 2 行 は
17:39誰 か を 責める 言葉 で は あり ませ ん 。 未来 の
17:42担当 者 が 同じ 落とし穴 へ 足 を 入れ ない ため
17:45の 目印 でし た 。 午前 中 小寺 まゆ さん に 声 を
17:49かけ まし た 。 少し 時間 を もらえ ます か ?
17:52彼女 は すぐ に メモ 帳 を 持っ て き まし た 。
17:55会議 室 の 橋 に 座り 、 私 は 作りかけ の 一覧 表
17:59を 広げ まし た 。 これ は 引き継ぎ 資料 と いう
18:02より 条件 の 地図 です 。 地図 です か ? ええ 、
18:07私 は 1 社 の ラン を 指 で 抑え まし た 。 この
18:10会社 は 値引き だけ を 先 に 頼む と 返事 が
18:13止まり ます 。 小寺 さん は メモ 帳 に その まま
18:16書きかけ まし た 。 私 は 静か に 止め まし た 。
18:20値引き が 嫌い で は あり ませ ん 。 違う ん です
18:24か ? 違い ます 。 私 は 契約 書 の 該当 ページ を
18:28開き まし た 。 この 会社 は 堪能 機 に 対応 する
18:31ため に 人 を 開け て くれ て い ます 。 だ から
18:34価格 を 下げる なら 数量 の も 一緒 に 話す 必要
18:38が ある ん です ね 。 その 返事 を 聞い て 私 は
18:41少し だけ 息 を 抜き まし た 。 小寺 さん は ただ
18:45覚えよう と し て いる の で は あり ませ ん 。
18:47繋がり を 見よう と し て い まし た 。 2者 目 で
18:50は 別 の 説明 が 必要 でし た 。 積材 の 会社 は
18:54担当 者 が 変わる と 最初 の 返事 が 遅く なり
18:57ます 。 以前 使用 の 言い 方 が 少し 違っ た だけ
19:01で 色村 の 許容 範囲 を 取り違え た こと が あり
19:04まし た 。 私 は その 時 の メール を 開き 、 権 と
19:07日付 だけ を 一覧 へ起 し まし た 。 本文 を その
19:11まま 貼る こと は し ませ ん でし た 。 必要 な の
19:13は 過去 の 失敗 を さらす こと で は なく 、 同じ
19:17確認 を 抜かさ ない こと です 。 この 日付 の
19:19メール を 見れ ば 理由 が 分かり ます 。 私 は
19:23そう 言っ て 車内 保存 先 も 書き まし た 。 小寺
19:26さん は 画面 を 見 ながら 小さく 頷き まし た 。
19:30藤崎 さん が い ない と 分から ない で は なく て
19:33見 に 行く 場所 が 分かれ ば 終える ん です ね 。
19:36その 言葉 は 私 の 胸 に 静か に 残り まし た 。
19:39会社 が 有族人家 と いう 言葉 に 私 は ずっと
19:43傷つい て い まし た 。 で も 本当 に 行け なかっ
19:46た の は 私 が 抱え て い た こと で は なく 会社 が
19:49それ を 正式 な 知識 と し て 扱っ て こ なかっ た
19:52こと か も しれ ませ ん 。 昼前 大橋 部 長 が 会議
19:56室 を 覗き まし た 。 随分 本格 的 だ ね 。 更新 前
20:00に 必要 な 確認 先 を まとめ て い ます 。 私 は
20:04一覧 表 を 閉じ ませ ん でし た 。 部長 は 小寺
20:07さん の メモ を 見 て 少し 安心 し た よう に 笑い
20:10まし た 。 これ が あれ ば 来年 も 助かる よ 。
20:14その 一言 で 私 は 昨日 の ノート を 思い出し
20:17まし た 。 助かる 、 頼る 、 任せる 。 どれ も
20:22仕事 の 場 で は 悪い 言葉 で は あり ませ ん 。
20:24ただ その 言葉 の 中 に 私 を 引き続き 置い て
20:28おく 前提 が 混じっ て い まし た 。 部長 、 私 は
20:31声 を 荒げ ず に 言い まし た 。 この 資料 は 部署
20:35に 残す ため に 作っ て い ます 。 もちろん 私 が
20:38来年 も いる 前提 で 作っ て いる わけ で は あり
20:41ませ ん 。 部長 の 笑 が 止まり まし た 。 小寺
20:44さん も ペ を 持つ 手 を 止め まし た 。 私 は それ
20:48以上 退職 と いう 言葉 を 出し ませ ん でし た 。
20:51まだ 正式 に 出す 日 で は なかっ た から です 。
20:54けれど 部長 は 私 の 糸 を 初めて 少し だけ
20:57受け取っ た よう でし た 。 午後 私 は 自分 の
21:00パソコン の 保存 先 を 整理 し まし た 。 個人 で
21:03作っ た 覚え書き と 部署 と し て 残す べき 資料
21:06を 分け まし た 。 感情 で 消す こと は し ませ ん
21:09。 腹立ち 紛れ に 隠す こと も し ませ ん 。 会社
21:13の 業務 と し て 作っ た もの は 会社 に 残し ます
21:16。 ただし 私 の 私物 の ノート や 母 の 病院 へ
21:20通い ながら 深夜 に 書い た 走り書き まで 会社
21:23の もの に する つもり は あり ませ ん でし た 。
21:26私 は 共有 フォルダ に お 資料 の 表紙 へ 更新
21:29全人 一覧 と 名前 を つけ まし た 。 その 下 に
21:34作成 者 と し て 藤崎 レイナ と 入力 し まし た 。
21:37日付 も 入れ まし た 。 それ は 私 が 確か に この
21:41仕事 を 形 に し た と いう 小さな 署名 の よう
21:44でし た 。 夕方 高瀬 ゆ さん から 申請 フォーム
21:48の 返信 が 届き まし た 。 担当 範囲 に つい て は
21:51現 時点 で は 変更 なし 。 イタリア 急者 の 担当
21:55は 藤崎 レイ奈 。 公認 育成 に つい て は 部署
21:59判断 。 高興 交渉 の 最終 承認 は 海外 調達 部 長
22:04及び 担当 役員 。 文 は 事務 的 でし た けれど
22:08これ で 1 つ はっきり し まし た 。 会社 は 私 を
22:12評価 し なかっ た の で は あり ませ ん 。 評価 を
22:150 に し ながら 仕事 だけ は その まま 使う
22:17つもり でし た 。 私 は その 返信 を 印刷 し 、
22:21昨日 の クリア ファイル へ 入れ まし た 。 商与
22:24明細 担当 予定 表 、 申請 フォーム の 回答 。 紙
22:28は 3 枚 に なり まし た 。 軽い はず な の に 持つ
22:32と ずっしり 重く 感じ まし た 。 業 後 、 私 は 人
22:36の 少なく なっ た 部署 で 退職 届け の 文面 を
22:39従書き し まし た 。 日付 、 指名 、 退職 希望日
22:43、 会社 の 規定 を 確認 し 、 余計 な 感情 は 入れ
22:47ませ ん でし た 。 理由 の 欄 に は 一心 上 の 都合
22:51だけ 書き まし た 。 本当 の 理由 を ここ に 長く
22:54書く 必要 は あり ませ ん 。 もう 十分 。 会社 の
22:58言葉 は 集まっ て い まし た 。 私 は 下書き を
23:01封筒 に 入れ ず ノート に 挟ん で 鞄 へ しまい
23:04まし た 。 提出 する の は もう 少し だけ 後 です
23:07。 それ まで に 聞き継ぐ もの と 聞き継が ない
23:10もの を 開け ます 。 会社 へ 残す 仕事 、 自分 へ
23:14返す 時間 、 その 境い目 を 私 は この 日 初めて
23:18自分 の 手 で 引き まし た 。 その 週 の 金曜日 、
23:21私 は 朝 から 会議 資料 を 揃え て い まし た 。
23:24議題 は 来 の 輸入 コスト 見直し です 。 場所 は
23:29本社 7 回 の 紹介 技術 でし た 。 出席 者 は 大橋
23:33部 長 と 仕入れ 管理 の 社員 が 2人 。 そして
23:37神た を 未戦 でし た 。 社長 の 息子 で 39 歳 。
23:42数 年 前 まで は 別会社 で 働い て い た 人 です 。
23:45神や インテリア へ 戻っ て から 専務 と し て
23:48経営 会議 へ 入る よう に なり まし た 。 それ
23:51自体 は 会社 の 決め た こと です 。 若い 感覚 が
23:54入る の も 悪い こと で は あり ませ ん 。 私 も
23:58古い やり 方 を 守る だけ で 良い と は 思っ て い
24:01ませ ん でし た 。 ただ 専務 の 数字 に は いつ も
24:05相手 の 顔 が あり ませ ん でし た 。 会議 が
24:07始まる と 専務 は 開光 1 番 に 言い まし た 。
24:11イタリア 調達 は 全体 的 に 高い です ね 。 机 の
24:15上 に 置か れ た 資料 に は 国 別 の 仕入れ 単価 が
24:18並ん で い まし た 。 川星 輸送 費 、 保管 費 、
24:22検品 費 、 どれ も 大切 な 数字 です 。 務 は 赤い
24:26ペン で イタリア の ラン に 丸 を つけ まし た 。
24:29来 は 使用 仕入れ 先 へ 一立 で 1 割 の 値下げ を
24:33要求 し ます 。 大橋 部長 が 少し 姿勢 を 変え
24:37まし た 。 私 は 持っ て い た 資料 の 橋 を 指 で
24:40抑え まし た 。 一立 その 言葉 が 1番 危ない と
24:45思い まし た 。 千 静か に 手 を上げ まし た 。
24:49値下げ 交渉 自体 に は 反対 で は あり ませ ん 。
24:53専務 は 薄く 笑い まし た 。 それ は 良かっ た 。
24:57ただ 一律 に 出す 前 に 各者 の 条件 を 分け て み
25:01た 方 が いい と 思い ます 。 私 は 旧車 の 一覧 を
25:051 枚 前 へ 出し まし た 。 価格 だけ を 動かす と
25:08最低 数 量 や の 品質 保障 、 生産 枠 も 連動 し
25:12ます 。 また その 話 です が 専務 の 声 は 少し
25:17だけ 硬く なり まし た 。 私 は そこ で 引き ませ
25:20ん でし た 。 昨日 まで に 作っ た 条件 の 地図 を
25:24この 会議 へ 持っ て き た 理由 が ある から です
25:26。 例えば 川 の 会社 です 。 私 は 1 社 目 の L を
25:31指し まし た 。 ここ は 堪能 機 の 追加 注文 に
25:35対応 する 代わり に 最低 数量 を 調整 し て い
25:38ます 。 仕入れ 管理 の 社員 が 資料 を 覗き込み
25:41まし た 。 価格 だけ 1 割 下げ て 欲しい と 先 に
25:45伝える と 追加 枠 の 扱い も 見直さ れ ます 。
25:48見直さ れる なら 別 の 会社 に 帰れ ば いい
25:51でしょう 。 専務 は すぐ に 言い まし た 。 その
25:54言葉 に 部屋 の 空気 が 少し 止まり まし た 。 私
25:58は 別 の 資料 を 開き まし た 。 買える 場合 初回
26:02検品 と 色合わせ で 少なく とも 数 ヶ月 かかり
26:05ます 。 だ から いつ まで も 同じ 相手 に 頼る ん
26:09です か ? 専務 は 椅子 の 背 に も 垂れ まし た 。
26:12藤崎 さん は 取引 先 に 片入れ し すぎ な ん です
26:15よ 。 その 言葉 は 以前 に も 聞い た こと が あり
26:18まし た けれど この 日 は 違い まし た 。 私 の
26:22手元 に は 商与 明迷彩 と 担当 確認 の 紙 が あり
26:26ます 。 会社 が 私 を どう 扱っ た か を 知っ た 後
26:29で 聞く と その 言葉 は 私 の 仕事 その もの を
26:32軽く する 音 に 変わり まし た 。 大橋 部長 が 間
26:35に 入り まし た 。
26:37藤崎 さん は 現場 の 注意 点 を 言っ て いる だけ
26:40です 。 注意 点 は 分かり ます 。 専務 は 部長 へ
26:44顔 を 向け まし た 。 で も 注意 点 を 理由 に 変え
26:47ない なら 経営 は 前 に 進み ませ ん 。 それ は
26:51もっと 言葉 でし た 。 私 も 変化 を 拒ん で いる
26:55わけ で は あり ませ ん 。 実際 私 は この 数 年 で
27:00輸送 ルート の 見直し や 検品 工程 の 整理 を
27:03提案 し て き まし た 。 その 結果 無駄 な 保管 費
27:06を 減らし た こと も あり ます 。 だ から こそ
27:09価格 だけ を 切り取る やり 方 が 怖かっ た の
27:12です 。 買える なら 順番 が 必要 です 。 私 は
27:16資料 の 最後 に 置い た 表 を 出し まし た 。 まず
27:19各者 偉い 機 の 発注 見込み を 示し ます 。 その
27:23上 で どの 条件 を 動か せる か を 確認 し ます 。
27:26値下げ 幅 は 会社 ごと に 分ける べき です 。
27:30専務 は 私 の 表 を 最後 まで 見 ませ ん でし た 。
27:33複雑 に し すぎ です 。 短い 言葉 でし た 。 結局
27:38藤崎 さん が 間 に 入ら ない と 進ま ない 形 を
27:41残し たい ん じゃ ない です か 。 それ 以上 言え
27:43ば 会議 は 感情 の ぶつけ合い に なり ます 。 私
27:47は 口 を 閉じ まし た 。 黙っ た の は 負け を 認め
27:51た から で は あり ませ ん 。 この 場 で は 専務 の
27:54発言 を 会議 記録 に 残す 方 が 大事 だ と 思っ た
27:57から です 。 会議 の 後 、 私 は 席 へ 戻り すぐ に
28:01疑似 メモ を 作り まし た 。 県名 は 来イタリア
28:04調達 場 剣直会議
28:07日付 出席 者 の 方針 一律 1 割 の 値下げ 要求 私
28:13が 伝え た 注意 点 条件 変更 は 価格 最低 数 量
28:19納期 品質 保障 生産 枠 影響 する こと 文面 は
28:24できる だけ 平ら に し まし た 。 腹立ち 紛れ の
28:27言葉 は 後 で 自分 の 足 を 引っ張り ます 。 だ
28:31から 事実 だけ を 書き まし た 。 最後 に 対応 と
28:35し て 会社 別 の 確認 を 先 に 行う こと と 初回
28:38連絡 文 の 分案 を 事前 に 確認 する こと を 入れ
28:41まし た 。 送信 先 は 大橋 部 長 と 会議 出席 者
28:45です 。 専務 に も 控え と し て 送り まし た 。
28:49送信 ボタン を 押す 前 に 1度 だけ 手 が 止まり
28:52まし た 。 これ を 送れ ば 私 は 専務 の 方針 へ
28:56正式 に 懸念 を 残し た こと に なり ます 。 お 、
29:00聞い て い ませ ん でし た と は 言わ せ ませ ん 。
29:02私 は 送信 し まし た 。 夕方 大橋 部長 が 私 の 席
29:07に 来 まし た 。 さっき の 目 も 受け取っ た よ 。
29:10確認 の ため です 。 分かっ てる 。 部長 は 周囲
29:14を 見 て 声 を 落とし まし た 。 ただ 専務 は
29:17面白く ない だろう が 面白い か どう か で 条件
29:21は 決まり ませ ん 。 自分 で も 少し 強い 言い 方
29:25に なっ た と 思い まし た けれど 部長 は 叱り
29:28ませ ん でし た 。 藤崎 さん はい 。 商与 の 件 と
29:33今日 の 話 は 別 に 考え た 方 が いい 。 私 は 部長
29:37の 顔 を 見 まし た 。 別 に 考え られる ほど 私 は
29:41器用 で は あり ませ ん 。 部長 は 返事 に 困っ た
29:44よう でし た 。 私 は 続け て 言い まし た 。 ただ
29:48仕事 と し て 必要 な こと は 残し ます 。 その
29:51言葉 だけ はっきり 伝え まし た 。 会社 を 困ら
29:55せる ため に 知識 を 隠す つもり は あり ませ ん
29:57。 で も 会社 の 都合 で 私 を 残す つもり なら
30:01それ も もう 受け入れ ませ ん 。 その 日 の 修業
30:04後 、 私 は 退職 届け の 下書き を もう 1度 開き
30:07まし た 。 昨日 まで は 提出 する 日 を 少し 迷っ
30:11て い まし た 。 住宅 老音 、 車 、 マンション 。
30:15これ から 動かす もの は 多く あり ます 。 で も
30:18今日 の 会議 で わかり まし た 。 ここ で 待て ば
30:22来年 も 同じ こと が 続き ます 。 価格 を 下げろ
30:25と 言わ れ 、 関係 を 守れ と 言わ れ 、 問題 が
30:28起きれ ば 私 の 説明 不足 に さ れる 。 そして
30:31評価 は 総合 判断 の 一言 で 閉じ られる 。 私 は
30:35退職 希望日 を 1 月 末 に し まし た 。 会社 の
30:38規定 を 確認 し 、 聞き継ぎ 期間 と し て 現実 的
30:42な 日数 を 残し まし た 。 印刷 し た 紙 を 封筒 に
30:45入れ 、 机 の 引き出し へ しまい まし た 。 ふ は
30:49まだ 閉じ ませ ん 。 明日 の 朝 、 大橋 部 長 の
30:52予定 を 抑え て から に し ます 。 引き出し を
30:55閉める 音 が 夜け に はっきり 聞こえ まし た 。
30:58翌朝 、 私 は 机 の 引き出し を 開ける 前 に 大橋
31:03部 長 の 予定 表 を 確認 し まし た 。 午前 10 時
31:06から 30 分 だけ 予定 の 空い て いる 時間 が
31:09あり まし た 。 私 は 会議 を 送り まし た 。 県 は
31:14担当 業務 と 今後 の 勤務 に つい て それ 以上 の
31:17言葉 は 入れ ませ ん でし た 。 方針 し て から
31:20引き出し の 奥 に 入れ た 封筒 を 取り出し まし
31:22た 。 風 は まだ 閉じ て い ませ ん 。 中 の 紙 を
31:26もう 1度 読み まし た 。 退職 希望日 は 1 月 末
31:29。 理由 は 一心 の 都合 。 会社 の 規定 に 沿っ た
31:34何 の 飾り も ない 文面 でし た 。 それ な の に
31:37その 紙 を 持つ 指先 に は 昨夜 と は 違う 思 が
31:41あり まし た 。 私 は もう 気持ち の 中 だけ で
31:44やめる 人間 で は なくなっ て い まし た 。 10
31:47時 に なる 少し 前 、 私 は 会議 室 へ 入り まし た
31:50。 大橋 部長 は 私 より 先 に 来 て い まし た 。
31:54いつ も の よう に 冗談 を 言う 様子 は あり ませ
31:56ん 。 藤崎 さん 、 昨日 の 会議 の こと か な ?
32:00部長 は 席 に つく なり 言い まし た 。 私 は 封筒
32:04を 机 の 上 に 置き まし た 。 その 件 も 含み ます
32:07が 、 今日 は 別 の 確認 です 。 部長 の 視線 が
32:11封筒 に 落ち まし た 。 私 は まず 予定 提表 の
32:14印刷 を 1 枚 出し まし た 。 1 月 から 3 月 まで
32:18イタリア 急者 の 更新 が 並ん で いる もの です
32:20。 次 に 人事 から 届い た 担当 範囲 の 回答 を
32:24出し まし た 。 最後 に 与 を 出し まし た 。 3 枚
32:29の 紙 を 机 の 上 で まっすぐ 揃え まし た 。 部長
32:32。 うん 。 来年度 も 私 は イタリア 急者 の 担当
32:37です 。 そう だ ね 。 その 担当 範囲 は 人事 の
32:41回答 で も 変更 なし です 。 それ は そう 書い て
32:44ある 。 と し て 年末 の 商与 は 0円 です 。 部長
32:49は そこ で 目 を 伏せ まし た 。 私 は 声 を 強く し
32:53ませ ん でし た 。 強く し なく て も 紙 が 全部 を
32:56示し て い まし た 。 昨日 専務 の 会議 で 一立 1
33:00割 の 値下げ 方針 も 出 まし た 。 私 は 会議 目 も
33:04加え まし た 。 私 は 懸念 を 残し まし た 。 読ん
33:08だ よ 。 部長 は かれ た 声 で 答え まし た 。 よく
33:12整理 さ れ て い た 。 その 言葉 を 私 は 受け取り
33:15ませ ん でし た 。 褒め られ たい 場面 で は ない
33:18から です 。 私 は 仕事 と し て 必要 な 引き継ぎ
33:22は し ます 。 もちろん 助かる です が 、 来年度
33:26の 担当 は 引き受け ませ ん 。 部長 が 顔 を上げ
33:30まし た 。 私 は 封筒 を 部長 の 方 へ 静か に 押し
33:33まし た 。 本日 退職 届け を 提出 し ます 。 会議
33:38室 の 空調 の 音 が 急 に 大きく 聞こえ まし た 。
33:42部長 は 封筒 を すぐ に は 取り ませ ん でし た 。
33:45ちょっと 待っ て くれ 。 待つ 時間 は 昨日 まで
33:48に 十分 取り まし た 。 藤崎 さん 、 これ は 困る
33:51。 その 言葉 に 私 は 初めて 部長 の 目 を
33:55まっすぐ 見 まし た 。 困る の は 会社 です か ?
33:58部長 は 答え ませ ん でし た 。 それ と も 私 です
34:02か ? 部長 は 両手 を 机 の 上 で 組み まし た 。
34:06商与 の 件 は 俺 も 知ら なかっ た 。 そう だ と
34:09思い ます 。 だ から 確認 する 。 確認 し て
34:13いただく こと は 止め ませ ん 。 私 は ゆっくり
34:16言い まし た 。 で も 私 の 退職 意思 は 変わり
34:20ませ ん 。 今 なら 考え直せる 。 考え直し た
34:24結果 です 。 部長 は 息 を 吐き まし た 。 怒っ て
34:28いる と いう より 足元 の 床 が 急 に なくなっ た
34:31よう な 顔 でし た 。 それ を 見 て 私 は 少し だけ
34:34胸 が 痛み まし た 。 この 人 に 個人 的 な 恨み は
34:38あり ませ ん 。 むしろ 現場 で は 何 度 も 助け て
34:41もらい まし た けれど 助け て もらっ た 記憶 と
34:45会社 に 残る 理由 は 同じ で は あり ませ ん 。
34:48引き継ぎ 期間 は 1 月 末 まで 取り ます 。 私 は
34:51続け まし た 。 資料 は 共有 フォルダー へ 整理
34:55し て い ます 。 小寺 さん へ の 説明 も 予定 を
34:58組み ます 。 ただし 取引 先 へ 個人 的 に 口聞き
35:02する 約束 は し ませ ん 。 部長 は その 言葉 に
35:06反応 し まし た 。 口きっ て 私 が いる から 受け
35:09て くれる と いう 形 を 残さ ない と いう 意味
35:12です 。 そこ まで 割り きら なく て も 割り切ら
35:15なけれ ば 同じ こと が 続き ます 。 部長 は 何 も
35:19言え ませ ん でし た 。 会議 室 を 出る 前 に 部長
35:23は 封筒 を 手 に 取り まし た 。 受け取っ た 以上
35:26退職 の 手続き は 始まり ます 。 それ は 気持ち
35:30で は なく 会社 の 現実 です 。 私 は 一例 し て
35:33部屋 を 出 まし た 。 廊下 の 窓 から 冬 の 薄い 光
35:37が 床 に 落ち て い まし た 。 自分 の 席 へ 戻る と
35:41小寺 まゆ さん が 立ち上がり まし た 。 藤崎
35:44さん 、 部長 から 何か あり まし た か ? 声 が
35:47少し 不安 そう でし た 。 私 は 周囲 を 見 まし た
35:50。 まだ 部署 全体 に 話す 段階 で は あり ませ ん
35:53。 小寺 さん はい 。 午後 引き継ぎ の 時間 を 1
35:58時間 ください 。 小寺 さん の 顔 が 少し こう
36:01暴り まし た 。 引き継ぎ です か ? ええ 。 私 は
36:05頷き まし た 。 今 まで より 細かく 進め ます 。
36:10それ 以上 は 言い ませ ん でし た 。 彼女 は 何か
36:12を 察し た よう に 静か に 席 へ 戻り まし た 。
36:16午後 の 引き継ぎ で は まず 9 の うち 3 者 だけ
36:19を 扱い まし た 。 全部 を 1度 に 渡せ ば 小寺
36:22さん は 混乱 し ます 。 私 は 会社 名 の 横 に 最初
36:27に 連絡 し て は いけ ない 内容 を 書き まし た 。
36:30値下げ 、 納期 短縮 使用 変更 。 その 3 つ を
36:35相手 の 事情 を 知ら ず に 同時 に 出し て は いけ
36:37ない 会社 が あり ます 。 これ 全部 覚え られる
36:41でしょう か ? 小寺 さん が 小さく 言い まし た
36:43。 覚える 必要 は あり ませ ん 。 私 は 共有
36:47フォルダ の 場所 を 指し まし た 。 見れ ば 確認
36:50できる よう に し ます 。 で も 判断 は 判断 する
36:54人 を 会社 が 決める 必要 が あり ます 。 私 は
36:58そこ で 言葉 を 切り まし た 。 小寺 さん は 私 の
37:01顔 を 見 まし た 。 私 は 穏やか に 言い まし た 。
37:05小寺 さん 1人 に しわ せる もの で は あり ませ
37:07ん 。 彼女 は ペン を 握っ た まま 俯き まし た 。
37:11その 姿 を 見 て 私 は 資料 の 書き 方 を 少し
37:14変えよう と 思い まし た 。 公認 を 守る ため に
37:17も 曖昧 な 経験 談 で は なく 確認 先 と 判断 者 を
37:21明確 に 残す 必要 が あり まし た 。 夕方 部長
37:25から 短い メール が 届き まし た 。 退職 届け を
37:28受 し まし た 。 今後 の 手続き は 人事 と 確認 し
37:31ます 。 1 月 末 まで の 引き継ぎ 計画 を 作成 し
37:35て ください 。 私 は その 文面 を 印刷 し まし た
37:38。 商与 明細 の ファイル に は 入れ ませ ん でし
37:41た 。 別 の クリア ファイル を 用意 し まし た 。
37:45表紙 に は 退職 手続き と 書き まし た 。 この 2
37:48冊 は 意味 が 違い ます 。 1 冊 は 私 が なぜ
37:53立ち止まっ た の か を 示す もの です 。 もう 1
37:55冊 は 私 が どう 進む の か を 示す もの です 。 業
37:59後 、 私 は 部署 の 明り を 最後 に 消し ませ ん
38:02でし た 。 大橋 部長 が まだ 自席 に 残っ て い た
38:06から です 。 いつ も なら 私 が 確認 し て 帰る
38:09こと が 多い 時間 でし た 。 お 先 に 失礼 し ます
38:12。 私 が 言う と 部長 は 顔 を あげ まし た 。 ああ
38:16、 返事 は 短く 疲れ て い まし た 。 私 は 机 の 上
38:21を 見 まし た 。 今日 提出 し た 封筒 は 部長 の 横
38:25に 置か れ て い まし た 。 もう 引き出し の 中 へ
38:28戻る こと は あり ませ ん 。 会社 も 私 も 昨日
38:32まで の 前提 に は 戻れ ませ ん 。 ビル を 出る と
38:35夜 風 の 中 に 紙 の 匂い が まだ 残っ て いる 気 が
38:38し まし た 。 私 は カ を 持ち直し 駅 へ 向かい
38:42まし た 。 家 に 帰っ たら 次 は 住ま の こと を
38:45調べる 番 です 。 会社 を やめる だけ で は 私 の
38:49生活 は 変わり ませ ん 。 本当 に 帰る なら 17
38:53年間 かけ て 作っ た 暮らし その もの に も 手 を
38:55入れ なけれ ば なら ない と 思い まし た 。 その
38:58夜 家 に 着く と 私 は コート を 脱ぐ 前 に 食卓 へ
39:02書類 を 並べ まし た 。 退職 届け を 出し た 日 な
39:05の に 部屋 の 中 は 何 使わっ て い ませ ん でし た
39:08。 冷蔵 庫 に は 昨日 外し た 返済 表 の 後 が 残っ
39:12て い ます 。 窓際 に は 会社帰り に 買っ た まま
39:16読め て い ない 本 が 積ん で あり ます 。 玄関 に
39:19は 通勤 に 使う 黒い 靴 が 揃っ て い まし た 。
39:2217 年間 私 は この 部屋 から 会社 へ 行き 、
39:26この 部屋 へ 帰っ て き まし た 。 だ から こそ
39:29会社 を 辞める だけ で は 足り ない と 思い まし
39:31た 。 暮らし の 形 まで その まま なら また 別 の
39:35不安 に 縛ら れ ます 。 私 は ノート を 開き 、
39:38住まい 、 車 、 荷物 と 3 つ に 分け て 線 を 引き
39:42まし た 。 最初 に 見 た の は 住宅 ローン の 残高
39:45でし た 。 数字 は 簡単 に 笑える 額 で は あり
39:49ませ ん 。 退職 後 の 収入 が すぐ 安定 する 保証
39:52も あり ませ ん 。 それ で も 残高 を 見 た こと で
39:56私 は 帰っ て 落ち着き まし た 。 怖い もの を
39:59怖い まま 置い て おく より 金額 と し て 見る 方
40:01が 動け ます 。 私 は 不 動産会社 の 相談 予約 を
40:05入れ まし た 。 売る と 決める 前 の 査程 相談
40:08です 。 画面 に 予約 の 文字 が 出る と 胸 の 奥 が
40:12少し 冷え まし た 。 この 部屋 を 手放す 可能 性
40:15が 初めて 外 の 記録 に 残っ た から です 。 翌日
40:19の 午後 、 私 は 会社 を 半球 に し て 駅前 の 不
40:23動産会社 へ 行き まし た 。 応 し て くれ た 担当
40:26者 に は 仕事 を 辞める 予定 が ある こと だけ を
40:29伝え まし た 。 商与 の 話 は し ませ ん でし た 。
40:32そこ まで 話す 相手 で は ない から です 。 担当
40:35者 は マンション の 蓄年 数 、 駅 から の 距離 、
40:39管理 費 、 修繕 積み立て 金 を 確認 し まし た 。
40:43次 に 住宅 ローン の 残高 を 聞き まし た 。 私 は
40:46自賛 し た 書類 を 出し まし た 。 数字 を 見 た
40:49担当 者 は 売却 し て も すぐ 大きな 現金 が 残る
40:53と は 限ら ない と 説明 し まし た 。 仲回 で 売る
40:56場合 の 期間 、 急い で 買い取っ て もらう 場合
40:59の 価格 さ 、 引き渡し まで に 必要 な 手続き
41:02どれ も 今日 決まる 話 で は あり ませ ん 。 1 枚
41:06の 紙 に 署名 し た だけ で 住ま が 消える わけ で
41:09は ない の です 。 それ で も 私 は その 説明 を
41:12聞き ながら 自分 の 足元 を 測り直し て いる 気
41:15が し まし た 。 担当 者 は 最後 に 言い まし た 。
41:19今 すぐ 売る か どう か は 査定 額 を 見 て から で
41:22大丈夫 です 。 私 は 頷き まし た 。 お 願い し
41:25ます 。 その 返事 を し た 時 、 退職 は 会社 の 中
41:29だけ の 出来事 で は なくなり まし た 。 私 の
41:32生活 に 確か に 手 が 入り 始め まし た 。 不
41:35動産会社 を 出る と 冬 の 午後 の 光 が 眩しく
41:38感じ まし た 。 私 は その まま 駅 へ 向かわ ず
41:42近く の 駐車 場 へ 行き まし た 。 そこ に は 私 の
41:45小さな 車 が あり ます 。 休日 に 母 の 病院 へ
41:49通っ た 車 です 。 雨 の 日 に サンプル 町 を 積ん
41:52で 会社 へ 運ん だ 車 です 。 ハンドル に 触れる
41:55と いく つ も の 場面 が 浮かび まし た 。 便利 だ
41:58から 持っ て い た の で は あり ませ ん 。 私 の
42:01生活 を 支える 足 でし た けれど 退職 後 に 維持
42:05費 を 払い 続ける か どう か は 別 の 問題 です 。
42:09私 は 車 の 買い取り 店 へ 電話 を し まし た 。
42:12査定 予約 は 3 日 後 に 撮れ まし た 。 電話 を
42:15切っ た 後 、 車内 の 消物入れ を 開け まし た 。
42:18古い 駐車 券 、 母 を 載せ た 病院 の 領収 書 の
42:22控え 、 使っ て い ない ガソリン スタンド の
42:25カード 。 私 は 必要 な もの だけ を 封筒 へ 入れ
42:28、 残り は 自宅 で 処分 する こと に し まし た 。
42:31思い出 まで 売る わけ で は あり ませ ん 。 で も
42:34思い出 を 理由 に これ から の 生活 費 を 増やす
42:37こと も でき ませ ん でし た 。 会社 で は 私 の
42:41退職 届け の 話 が 少し ずつ 広がっ て い まし た
42:43。 誰 が 直接 言っ た の か は 分かり ませ ん 。
42:46ただ 急闘 室 に 入っ た 瞬間 会話 が 1 泊 だけ
42:51止まる こと が 増え まし た 。 小寺 まゆ さん は
42:54前 より 丁寧 に 資料 を 確認 する よう に なり
42:56まし た 。 大橋 部長 は 聞き継ぎ 計画 の 提出
43:00期限 を 早め たい と 言い まし た 。 私 は 承知 し
43:04まし た と 答え まし た 。 その 日 の 午後 共有
43:07フォルダー へ 更新 全隔 21 の 第 2 を 置き
43:10まし た 。 各者 ごと に 最初 に 確認 する 相手
43:14過去 の 注意 点 判断 者 へ 回す タイミング を
43:17入れ まし た 。 最後 の ラン に は 担当 者 が 個人
43:21判断 で 約束 し ない こと と 書き まし た 。 これ
43:24は 小寺 さん を 守る ため で も あり まし た 。
43:27同時 に 会社 が 私 の 記憶 を 当然 の 備品 の よう
43:31に 扱っ て き た こと へ の 線引 で も あり まし た
43:33。 資料 を 送る と 部長 から すぐ 返信 が 来 まし
43:37た 。 助かり ます 。 その 一言 だけ でし た 。 私
43:41は 返信 を せ ず 次 の ファイル を 開き まし た 。
43:45週 末 私 は 部屋 の 荷物 を 減らし 始め まし た 。
43:49最初 は 初棚 でし た 。 仕事 の 本 、 語学 の 本 、
43:54母 が 好き だっ た 料理 本 。 全部 を 箱 へ
43:57入れよう と する と すぐ に 手 が 止まり ます 。
44:00私 は 持っ て いく もの 、 売る もの 、 処分 する
44:03もの に 分け まし た 。 会社 の 資料 は 会社 に
44:07返す もの と 自分 の 学び と し て 残す 一般 書 に
44:10分け まし た 。 古い 名刺 や 使わ ない カード は
44:13細かく 切り まし た 。 母 の 写真 は 迷わ ず
44:17小さな 封筒 へ 入れ まし た 。 写真 の 中 の 母 は
44:20病院 の 庭 で 薄い 上着 を 着 て 笑っ て い ます 。
44:24その 写真 だけ は どこ へ 行く と し て も 持っ て
44:26いく と 決め まし た 。 夕方 まで に 部屋 の 床 に
44:30は ダン ボール が 4 つ 並び まし た 。 思っ た
44:32より 少ない 数 でし た 。 私 は 自分 が 17 年間
44:37で 多く を 持っ た つもり で 実 は 会社 へ 行く
44:39ため の 道具 ばかり を 増やし て い た の だ と
44:41気づき まし た 。 3 日 後 車 の 査定 額 が 出 まし
44:45た 。 高く は あり ませ ん けれど 維持 費 を
44:49考えれ ば 手放す 意味 は あり まし た 。 私 は
44:52その 場 で 即血 せ ず 見積もり 書 だけ を
44:55受け取り まし た 。 不 動産 の 査定 結果 も 同じ
44:58週 に 届き まし た 。 こちら も 夢 の ある 数字 で
45:02は あり ませ ん 。 ローン を 生産 し 、 手数 料 を
45:05払え ば 手元 に 残る 額 は 限ら れ ます 。 それ で
45:09も 生活 を 軽く する こと は でき ます 。 私 は
45:12ノート に 売却 を 進める 場合 の 手順 を 書き
45:15まし た 。 不 動産会社 へ 正式 に 依頼 する 日 、
45:19車 を 手放す 日 、 会社 へ 太陽 品 を 返す 日 、 1
45:23つ ずつ 日付 を 入れる と 遠かっ た 変化 が 近く
45:26へ 寄っ て き まし た 。 怖 さ は 消え ませ ん
45:29けれど 、 怖 さ の 中 に 道筋 が 見え まし た 。
45:32その 夜 私 は クローゼット の 前 に 座り まし た
45:36。 残す 服 は 思っ て い た より 少なく て 済み
45:39まし た 。 会社 に 来 て いく ため の 服 を 減らす
45:42と 開い た ハンガー が いく つ も 並び まし た 。
45:45私 は その 空白 を しばらく 見 て い まし た 。
45:48寂しい と いう より 不思議 でし た 。 こんな に
45:52相手 も 私 は まだ 私 でし た 。 会社 の 名刺 も 車
45:56も この 部屋 も 私 を 形づくっ て い た 一部 で は
46:00あり ます 。 で も それ が 全部 で は あり ませ ん
46:03。 最後 に ダン ボール の 蓋 を 閉じ まし た 。 服
46:07、 本 、 母 の 写真 。 大切 な 書類 。 残し た もの
46:12は 数 箱 だけ でし た 。 私 は その 箱 を 見 て
46:15初めて 小さく 息 を 吐き まし た 。 自分 の 人生
46:18を 持ち運べる 形 に する 作業 が もう 始まっ て
46:22い まし た 。 退職 届け を 出し て から 聞き継ぎ
46:25の 予定 は 一気 に 増え まし た 。 大橋 部長 は 私
46:29の 1 月 末 退職 に 合わせ て 毎週 2 回 の 時間 を
46:32入れ まし た 。 小寺 まゆ さん は 毎回 きちんと
46:36メモ を 持っ て き まし た 。 私 は 急者 を 会社 名
46:39の 順 で は なく 条件 が 動く 順番 から 話す こと
46:43に し まし た 。 会社 名 を 覚える だけ なら 誰 で
46:46も でき ます けれど どの 条件 を 先 に 触る と
46:50どこ が 崩れる の か それ を 知ら なけれ ば 契約
46:54書 を 読ん で も 判断 でき ませ ん 。 その 日 の
46:57会議 室 に は 私 と 小寺 さん の 他 に 部長 も 同席
47:01し て い まし た 。 机 の 中央 に 更新 全隔 人 一覧
47:05の 第 3 番 を 置き まし た 。 表 の 左端 に は 会社
47:08名 。 その 隣 に 価格 、 数量 納期 禁
47:15さらに 右 へ 先 に 確認 する 相手 と 判断 者 へ
47:19回す 時点 を 書い て あり ます 。 小寺 さん は 表
47:23を 見 て 小さく 言い まし た 。 これ 順番 を
47:26間違える と 大変 です ね 。 ええ 、 私 は 川 の
47:30会社 の L を 指し まし た 。 価格 の 話 を する 前
47:33に 来 の 発注 見込み を 伝える 必要 が あり ます
47:36。 先 に 値下げ を 頼む と 向こう は 発注 量 が
47:41減る と 受け取る か も しれ ませ ん 。 部長 が 腕
47:44を 組ん だ まま 黙っ て い まし た 。 私 は 続け
47:47まし た 。 発注 量 が 減る なら 堪能 機 の 枠 は
47:50維持 でき ませ ん 。 堪能 機 の 枠 が 外れる と
47:53ホテル 向け の 特 に 影響 し ます 。 小寺 さん の
47:57ペン が 止まり まし た 。 つまり 価格 だけ の 話
48:01じゃ ない ん です ね 。 そう です 。 私 は その
48:04返事 を 待っ て い まし た 。 この 仕事 を 難しく
48:07見せ たい の で は あり ませ ん 。 正しく 怖がっ
48:10て 欲しかっ た の です 。 次 に 石材 の 会社 を 見
48:13まし た 。 ここ は 色村 の 許容 範囲 を 何 度 も
48:17確認 し て き た 相手 です 。 私 は 過去 メール の
48:20保存 場所 を 開き まし た 。 本文 を 丸暗記 する
48:23必要 は あり ませ ん 。 見る 場所 と 確認 する
48:27相手 を 間違え ない こと が 大事 です 。 小寺
48:30さん は 画面 を 見 ながら 頷き まし た 。 この
48:33担当 者 の 名前 は 最初 の メール に 必ず 入れる
48:36ん です ね 。 はい 。 入れ ない と 別 の 窓口 へ
48:40回っ て 使用 の 意味 が ずれる こと が あり ます
48:43。 部長 が そこ で 口 を 開き まし た 。 そこ まで
48:47藤崎 さん が 毎年 見 て い た の か 。 見 て い まし
48:50た 。 私 は 短く 答え まし た 。 ただ 私 が 見 て い
48:54た こと より 部署 の 確認 手順 に なっ て い
48:57なかっ た こと が 問題 です 。 部長 は 返す 言葉
49:00を 探す よう に 資料 を 落とし まし た 。 小寺
49:03さん は 少し 緊張 し た 顔 で メモ を 続け まし た
49:06。 私 は 説明 の 速度 を 落とし まし た 。 公認 を
49:10責める ため の 時間 で は あり ませ ん 。 会社 の
49:13曖昧 さ を この 人 に 1人 で しわ せ ない ため の
49:16時間 でし た 。 昼前 神 や 高戦務 が 会議 室 へ
49:20行き まし た 。 いつ も の 濃い の スーツ で 手 に
49:23は タブレット だけ を 持っ て い まし た 。 随分
49:26細かい です ね 。 務 は 表 を 一目 見る なり 言い
49:30まし た 。 私 は 椅子 に 座っ た まま し まし た 。
49:33更新 時期 に 必要 な 確認 です 。 小寺 さん は
49:38小寺 さん へ 顔 を 向け まし た 。 大丈夫 です か
49:41? 小寺 さん は 背筋 を 伸ばし まし た 。 はい 。
49:46資料 が あれ ば 終え ます 。 その 返事 に 専務 は
49:49満足 し た よう に 頷き まし た 。 そう でしょう
49:52。 これ まで 1人 に 寄り 過ぎ て い た だけ です
49:55。 部長 が 私 を 見 まし た 。 私 は 表 の 橋 を 指先
50:00で 抑え た だけ でし た 。 ここ で 反論 し て も
50:03専務 の 考え は 変わり ませ ん 。 それ より 次 の
50:07言葉 を 記録 に 残す 方 が 大事 でし た 。 務 は
50:10続け まし た 。 藤崎 さん が 抜け て も 資料 化
50:13すれ ば 回る 。 会社 と し て は むしろ 健全 に
50:17なり ます 。 私 は 手帳 に その 言葉 を その まま
50:20書き まし た 。 は 見 て も 何 も 言い ませ ん でし
50:24た 。 が 出 て いっ た 後 、 会議 室 に は 少し 重い
50:28空気 が 残り まし た 。 小寺 さん が 申し訳 なさ
50:32そう に は 私 を 見 まし た 。 藤崎 さん 、 今 の
50:36小寺 さん が 謝る こと で は あり ませ ん 。 私 は
50:40表 の 次 の 欄 を 開き まし た 。 ただ 1 つ だけ
50:43覚え て おい て ください 。 はい 。 資料 が あっ
50:46て も 相手 と の 約束 は 自分 の 判断 で 変え ない
50:50こと 。 わかり まし た 。 迷っ たら 部長 と 担当
50:54役員 へあげ て ください 。 私 は 部長 の 方 を 見
50:57まし た 。 その 判断 を 公認 へ 任せ ない 形 に し
51:00て ください 。 部長 は 静か に 頷き まし た 。
51:04わかっ た 。 その 返事 は 初めて 少し 現場 の
51:08重み を 受け取っ た 声 に 聞こえ まし た 。 私 は
51:11確認 一覧 の 最後 へ 新しい 欄 を 足し まし た 。
51:15判断 保留 時 の 連絡 先 、 そこ へ 部長 名 と 担当
51:19役員 名 を 入れ まし た 。 これ で 小寺 さん が
51:221人 で 抱える 範囲 は 少し 狭く なり ます 。
51:25同時 に 会社 が 私 の 代わり を 個人 の 努力 だけ
51:28で 済ま せる 道 も 少し 狭く なり まし た 。 午後
51:32私 は 取引 先 へ 送る 退職 連絡 の 分案 を 作り
51:36まし た 。 会社 の 正式 な 連絡 と し て 出す ため
51:39大橋 部長 の 確認 を 受ける 必要 が あり ます 。
51:43文面 は 短く し まし た 。 私 が 1 月 末 で 退職
51:47する こと 。 今後 の 窓口 は 小寺 まゆ さん と
51:50海外 調達 部 で ある こと 。 過去 の 案件 に
51:53関する 確認 は 会社 の 共有 記録 を 元 に 対応
51:57する こと 。 そして 個人 的 な 携帯 や 使用 の
52:00メール に は 連絡 し ない で 欲しい こと 。 最後
52:03の 一分 を 入れる 時 指 が 少し 止まり まし た 。
52:0711 年間 何か あれ ば 直接 連絡 し て くれ た 人
52:10たち です 。 それ で も 退職 後 まで 私 が 窓口 で
52:14いれ ば 会社 は 何 も 変わり ませ ん 。 私 は 文 を
52:18送信 し まし た 。 部長 から は 十分 ほど で 証人
52:22が 来 まし た 。 その 日 の うち に 急者 へ 会社 の
52:25メール と し て 送ら れ まし た 。 送信 済み の
52:28画面 を 見 た 時 、 私 の 中 で 何か が 静か に 離れ
52:31まし た 。 夕方 最初 の 返信 が 届き まし た 。
52:35イタリア の 川 メーカー から でし た 。 短い
52:38英語 の 挨拶 が 冒頭 に あり まし た が 、 私 は
52:41日本 語 の 要点 だけ を メモ し まし た 。 長い 間
52:44ありがとう 。 次 の 担当 者 と も 正式 な 条件 を
52:48確認 し た 上 で 進め たい 。 その 一分 を 見 て 私
52:52は 思い まし た 。 相手 は 私 個人 に だけ 義 の で
52:57は あり ませ ん 。 約束 の 中身 と 確認 の
53:00積み重ね を 見 て い た の です 。 だ から 担当 が
53:03変われ ば 改めて 条件 を 確認 する 。 それ は
53:07冷たい こと で は なく 商売 と し て 当然 の こと
53:10でし た 。 私 は 返信 せ ず 部長 党 の寺ラ さん へ
53:14転送 し まし た 。 後 は 会社 窓口 で お 願い し
53:17ます 。 それ だけ 添え まし た 。 小寺 さん は 席
53:21で その メール を 読み しばらく が 面 を 見つめ
53:24て い まし た 。 大謝 前 私 は 退魚 品 の 一覧 を
53:28人事 へ 提出 し まし た 。 社員 賞 、 パソコン 、
53:32会社 形態 、 名刺 の 残り 、 返却 予定 を 退職 日
53:37の 3 日 前 に し まし た 。 高瀬 ゆ さん から は
53:40承知 し まし た と いう 返信 だけ が 来 まし た 。
53:43私 は その メール を 退職 手続き の フォルダー
53:46へ 入れ まし た 。 机 の 上 に は もう 必要 な もの
53:49しか 残っ て い ませ ん 。 引き継ぎ 資料 、 退職
53:53手続き 、 数 本 の ペン 、 窓 の 外 で は 冬 の 夕方
53:57が 早く 暗く なっ て い まし た 。 会社 は まだ
54:01資料 が あれ ば 回る と 思っ て いる よう でし た
54:03。 私 も 資料 で 終える ところ まで は 残し まし
54:06た 。 けれど 、 資料 を 残し た こと と 私 が 戻る
54:10こと は 別 です 。 私 は パソコン を 閉じ 、 鞄 を
54:14持ち まし た 。 その 日 初めて 自分 の 席 が 少し
54:18通り 場所 に 見え まし た 。 1 月 末 の 朝 、 私 は
54:22いつ も より 早く 会社 へ 着き まし た 。 机 の 上
54:25に は 返却 する 社員 症 と 会社 形態 を 置い て い
54:28まし た 。 パソコン は 人事 の 確認 を 受け て
54:31から 初期 手続き へ 回す こと に なっ て い ます
54:34。 引き出し の 中 は 前 の 日 に ほとんど 空 に し
54:37て い まし た 。 残っ て い た の は 予備 の 付箋 と
54:41古い クリップ が 数 個 だけ です 。 17 年間
54:44使っ た 机 な の に 片付け て みる と 驚く ほど
54:47軽く なり まし た 。 私 は 共有 フォルダー の
54:50最終 版 を もう 1度 開き まし た 。 更新 全隔 人
54:54一覧 旧別 の 条件 目 も 退職 後 も の 問い合わせ
54:58窓口 どれ も 部署 の 記録 と し て 残る 場所 に
55:02入っ て い ます 。 最後 に 小寺 は まゆさて の
55:05確認 メール を 送り まし た 。 分から ない こと
55:08を 使用 連絡 先 へ 送ら ず 、 必ず 部長 と 会社
55:11窓口 で 確認 し て ください 。 少し きつく
55:14見える 分 か も しれ ませ ん 。 で も そこ を 曖昧
55:17に すれ ば 会社 は いつ まで も 私 の 外側 の 時間
55:21まで 使う と 思い まし た 。 午前 中 最後 の
55:24引き継 が あり まし た 。 大橋 部 長 と 小寺 さん
55:28が 並ん で 座り まし た 。 私 は 1 月 に 入っ て
55:32から 残し て き た 資料 の 一覧 を 読み上げ まし
55:34た 。 読み上げ た と 言っ て も 思い出 を 語っ た
55:38わけ で は あり ませ ん 。 保存 場所 、 確認 順 、
55:42判断 者 、 取引 先 へ 伝え て 良い こと 、 伝え て
55:46は いけ ない こと 、 その 5 つ を 淡々 と 確認 し
55:49まし た 。 小寺 さん は 何 度 も 資料 目 を 落とし
55:53まし た 。 藤崎 さん 、 彼女 は 最後 に 小さく
55:56言い まし た 。 ここ まで 残し て いただい て
55:59ありがとう ござい ます 。 私 は すぐ に 返事 が
56:03でき ませ ん でし た 。 その 言葉 は 会社 から で
56:06は なく 目 の 前 で これ から 背負う 人 から 出 た
56:09もの です 。 小寺 さん が 困ら ない よう に し た
56:12だけ です 。 私 は そう 答え まし た 。 ただ 困っ
56:16た 時 は 1人 で 抱え ない で ください 。 小寺
56:19さん は 真面目 な 顔 で 頷き まし た 。 その 姿 を
56:23見 て 私 は 少し だけ 安心 し まし た 。 私 が
56:26できる 引き継ぎ は ここ まで です 。 昼 過ぎ
56:30神た 未戦 が 武署 へ き まし た 。 時 から 退職 者
56:34の 挨拶 を 促さ れ た の か 短い 時間 だけ
56:37立ち寄っ た 様子 でし た 。 藤崎 さん お 疲れ 様
56:40でし た 。 専務 の 声 は 驚く ほど 軽い もの でし
56:44た 。 資料 家 も 進ん だ よう で 会社 と し て は
56:47良い 機会 に なり まし た 。 大橋 部 長 が わずか
56:51に 顔 を 怖ばら せ まし た 。 私 は 頭 を 下げ まし
56:54た 。 お 世話 に なり まし た 。 それ 以上 は 言い
56:58ませ ん でし た 。 専務 の 言葉 へ 反論 する 必要
57:01は あり ませ ん 。 私 が い ない 状態 で 本当 に
57:04回る の か は これ から 会社 自身 が 知る こと
57:07です 。 その 時 私 は もう 社員 で は あり ませ ん
57:10。 専務 は 小寺 さん へ も 声 を かけ まし た 。
57:14若い 人 が 引き継げ ば 変わり ます 。 小寺 さん
57:18はっきり し た 返事 を せ ず 資料 を 胸 に 抱え て
57:21い まし た 。 私 は その 横顔 を 見 て 公認 を 残し
57:25て いく 申し訳 な さ を 覚え まし た 。 で も それ
57:29を 理由 に 退職 を 取り下げれ ば 会社 は 何 も
57:32学び ませ ん 。 夕方 人事 で 退職 手続き の 最後
57:36の 確認 を し まし た 。 高瀬 ゆ さん は 書類 を 1
57:39枚 ずつ 読み上げ まし た 。 健康 保険 、 年金 、
57:44厳選 表 、 対与 品 の 返却 、 事務 的 な 説明 が
57:48続き ます 。 私 は 必要 な ところ だけ 質問 し
57:52署名 し まし た 。 商与 の 話 は 申し ませ ん でし
57:56た 。 ここ で 聞い て も また 総合 判断 と いう
57:59言葉 が 変える だけ です 。 高瀬 さん は 最後 に
58:03少し だけ 声 を 落とし まし た 。 藤崎 さん 、 今
58:06まで ありがとう ござい まし た 。 その 言葉 の
58:09中 に 何か を 言い出し たい 気配 が あり まし た
58:12けれど 、 高瀬 さん は 言い ませ ん でし た 。 私
58:16も 聞き ませ ん でし た 。 書類 以上 、 私 は この
58:19日 で 神 が インテリア の 社員 で は なくなり
58:21まし た 。 社員 症 を 返し た 時 、 首元 が 少し
58:25軽く なっ た よう に 感じ まし た 。 ビル を 出る
58:28前 に 私 は 1度 だけ 振り返り まし た 。 受付 横
58:31の 観葉 植物 は あの 人 同じ 場所 に あり まし た
58:35。 少夜 ゼロ を 確認 し た 時 、 足元 で 影 が 揺れ
58:38て い た 植物 です 。 今 は 夕方 の 光 を 受け て 歯
58:42の 色 が 少し 暗く 見え まし た 。 私 は そこ で
58:46深く 頭 を 下げ ませ ん でし た 。 ただ 静か に 見
58:49た だけ です 。 17 年間 ここ へ 通い まし た 。
58:53良い 日 も あり まし た 。 誇れる 仕事 も あり
58:56まし た 。 だ から こそ 最後 を 憎しみ だけ で
58:59終わら せ たく は あり ませ ん でし た 。 で も
59:02戻り たい と も 思い ませ ん でし た 。 自動 ドア
59:05が 開き 冷たい 空気 が 入っ て き まし た 。 私 は
59:08外 へ 出 まし た 。 その 時 会社 の 中 に 残し て き
59:12た もの と 自分 の 手元 へ 戻し た もの の 境い目
59:15が はっきり し た 気 が し まし た 。 それ から 数
59:18週間 は 大きな 連絡 は あり ませ ん でし た 。 私
59:22は マンション 売却 の 手続き を 進め 、 車 も
59:25正式 に 手放し まし た 。 荷物 は 最終 的 に 暖房
59:29を 累つ に なり まし た 。 服 、 本 、 母 の 写真 、
59:34仕事 で 使う 一般 書 な 書類 。 残り の 家具 は
59:39必要 と し て くれる 人 へ 譲る か 処分 し まし た
59:42。 部屋 が 空 に なる 生活 の 音 が 少し ずつ
59:45変わり まし た 。 冷蔵 庫 の 低い 音 、 床 を 歩く
59:49足音 、 窓 を 閉める 時 の 響力き 、 どれ も 前
59:53より 広く 聞こえ まし た 。 不安 が ない わけ で
59:56は あり ませ ん 。 で も 会社 へ 行く ため に 整え
59:59て き た 部屋 が 私自身 の 次 の 場所 へ 向かう
1:00:02準備 に 変わっ て いき まし た 。 2 月 の 半ば 私
1:00:06は イタリア へ 渡り まし た 。 最初 の 滞在 先 は
1:00:10ボローニャ の 小さな 部屋 です 。 仕事 を し に
1:00:12行く の で は あり ませ ん 。 まず は 休む ため
1:00:16でし た 。 語学校 の 短い コース へ 申し込み 、
1:00:19午前 中 だけ 授業 を 受ける 予定 に し まし た 。
1:00:22初日 の 朝 、 目 が 覚め て も 会社 の メール を
1:00:25開く 必要 が あり ませ ん でし た 。 それ だけ の
1:00:28こと な の に 私 は しばらく ベッド から
1:00:31起き上がれ ませ ん でし た 。 窓 の 外 で は 知ら
1:00:34ない 街 の バス が ゆっくり 通っ て い まし た 。
1:00:37誰 も 私 を 呼び ませ ん 。 誰 も 強 に 確認 し て
1:00:41欲しい と は 言い ませ ん 。 私 は よう かし 、
1:00:44持っ て き た 母 の 写真 を 小さな 棚 に 置き まし
1:00:47た 。 写真 の 母 は 病院 の 庭 で 笑っ て い ます 。
1:00:51私 は 小さく 言い まし た 。 来 た よ 。 その 声 は
1:00:56部屋 の 壁 に 柔らかく 帰り まし た 。 その 頃
1:00:59会社 から は 短い 近況 が 2度 だけ 届き まし た
1:01:02。 1度 目 は 小寺 さん から の 礼儀 正しい
1:01:05メール でし た 。 資料 を 見 ながら 進め て い
1:01:08ます 。 今 の ところ 大きな 問題 は あり ませ ん
1:01:11。 私 は 返信 に 時間 を 起き まし た 。 困っ たら
1:01:15部長 へ 確認 し て ください 。 それ だけ を 書き
1:01:18まし た 。 2度 目 は 大橋 部長 から でし た 。 が
1:01:23俗人 家 を 解消 でき た と 会議 で 話し て い た
1:01:25らしい 。 部長 は 余計 な こと を 書き すぎ た と
1:01:29思っ た の か 最後 に 気 に し ない で ください と
1:01:32添え て い まし た 。 私 は 画面 を 閉じ まし た 。
1:01:35気 に し ない わけ で は あり ませ ん 。 で も もう
1:01:38私 の 勤務 評価 を 決める 人 たち で は あり ませ
1:01:41ん 。 会社 は 最初 の 数 週間 を 乗り切っ た こと
1:01:44で 正しかっ た と 思っ た の でしょう 。 ただ
1:01:48契約 更新 の 時期 は まだ 本当 に は 来 て い ませ
1:01:51ん でし た 。 私 は その 朝 語学 学校 へ 向かう カ
1:01:55を 持ち まし た 。 玄関 の カ を かける 音 が 日本
1:01:59に い た 時 より 軽く 聞こえ まし た 。 2 月 の
1:02:02終わり 頃 、 ボローニャ の 朝 は まだ 冷え て い
1:02:04まし た 。 私 は 語学 学校 へ 行く 前 に 小さな
1:02:08台所 で コーヒー を 入れ て い まし た 。 窓 の 外
1:02:11で は 石畳 を 吐く 音 が し て い まし た 。 日本 に
1:02:14い た 時 なら その 時間 に は すでに 会社 の
1:02:17メール を 確認 し て い た はず です けれど その
1:02:20朝 の 私 は 湯気 の 向こう で パン を 温め ながら
1:02:24自分 の 予定 だけ を 見 て い まし た 。 その
1:02:27し付け さ を 破っ た の は 日本 の 携帯 で は なく
1:02:30使用 の メール でし た 。 差し出し 人 は 小寺
1:02:34まゆ さん です 。 権 に は イタリア 急者 へ の
1:02:37価格 改定 連絡 に つい て 問わり まし た 。 私 は
1:02:41椅子 に 座り直し まし た 。 退職 時 に 使用 連絡
1:02:45先 へ 業務 連絡 を 送ら ない で 欲しい と は 伝え
1:02:47て い ます 。 ただ その 文面 の 硬 さ から 彼女 が
1:02:51迷っ た 末 に 送っ て き た こと は 分かり まし た
1:02:54。 私 は すぐ に は 開き ませ ん でし た 。 一度
1:02:58コーヒー を 飲み まし た 。 会社 を 離れ た の に
1:03:01昔 の 反射 だけ で 動い て しまう 自分 を 止める
1:03:03ため でし た 。 に は 会社 と し て 旧 へ 一斉 に
1:03:07連絡 し た と 書か れ て い まし た 。 来 から
1:03:10仕入れ 価格 を 1 割 下げ て ほしい 。 文面 は
1:03:14神た を 未戦務 の 方針 に 沿っ た もの だっ た
1:03:17そう です 。 小寺 さん は その 下 に 短く 書い て
1:03:20い まし た 。 数者 から 条件 を 確認 し たい と
1:03:24いう 返信 が 来 て い ます 。 どの 順番 で 返せ ば
1:03:27良い か 判断 に 迷っ て い ます 。 私 は 画面 を 見
1:03:31た まま しばらく 指 を 動かし ませ ん でし た 。
1:03:35割 と いう 数字 その もの が 悪い わけ で は あり
1:03:37ませ ん 。 問題 は その 数字 だけ を 先 に 投げ た
1:03:41こと です 。 私 は 引き継ぎ 資料 の 最初 に 書い
1:03:44て い まし た 。 価格 を 動かす 前 に 発注 見込み
1:03:48と 納期 条件 を 確認 する こと 。 その 手順 を
1:03:51飛ばし た なら 相手 は 当然 別 の 条件 も 変わる
1:03:55と 考え ます 。 私 は 返信 画面 を 開き まし た 。
1:03:58で も 昔 の よう に 各者 へ どう 書け ば 良い か を
1:04:02細かく 直す こと は し ませ ん でし た 。 私 は
1:04:05小寺 さん へ 短く 返し まし た 。 会社 の 共有
1:04:09フォルダー に 更新 全 確認 一覧 が あり ます 。
1:04:12価格 の 前 に 確認 す べき 項目 を 部長 と 担当
1:04:16役員 へあげ て ください 。 私 から 取引 先 へ
1:04:19直接 連絡 する こと は でき ませ ん 。 送信 する
1:04:22前 に 文章 を 何 度 も 読み まし た 。 冷たい 言い
1:04:25方 に なっ て い ない か 逃げ て いる よう に 見え
1:04:28ない か けれど ここ で 私 が 全部 を 直せ ば 会社
1:04:32は また 同じ こと を し ます 。 小寺 さん の ため
1:04:35に も 判断 者 を 表す 必要 が あり まし た 。 私 は
1:04:39送信 ボタン を 押し まし た 。 困っ て いる 後輩
1:04:42を 突き離し たい わけ で は あり ませ ん 。 ただ
1:04:45会社 の 判断 を 退職 し た 私 の 手 なかっ た こと
1:04:49に は でき ませ ん でし た 。 語学 学校 から 戻る
1:04:52と 大橋 こと 部長 から も メール が 来 て い まし
1:04:55た 。 部長 は いつ も の 短い 分 で は なく 少し
1:04:59長く 状況 を 書い て い まし た 。 1 社 目 は 発注
1:05:02見込み を 示し て 欲しい と 返し て き た 。 2 者
1:05:05目 は 生産 枠 の 確保 を 保留 する と 言っ て き た
1:05:08。 3 者 目 は 担当 窓口 から の 変身 が 止まっ て
1:05:12いる 。 文 の 最後 に こう あり まし た 。 藤崎
1:05:16さん が 言っ て い た 通り 条件 が 繋がっ て いる
1:05:19よう です 。 私 は その 一文 を ゆっくり 読み
1:05:23まし た 。 言っ て い た 通り その 言葉 が
1:05:26欲しかっ た わけ で は あり ませ ん 。 で も 現場
1:05:29の 人 が 初めて 資料 の 意味 を 実際 の 反応 と し
1:05:32て み た の だ と 分かり まし た 。 私 は 部長 へ も
1:05:35同じ 姿勢 で 返し まし た 。 会社 と し て 送っ た
1:05:38連絡 で あれ ば 会社 と し て 条件 を 整理 し て
1:05:41ください 。 過去 の 契約 書 と 更新 全隔 に 一覧
1:05:45を 称号 し 、 どの 条件 を 動かす の か を 先 に
1:05:48決める 必要 が あり ます 。 それ 以上 は 書き
1:05:50ませ ん でし た 。 翌日 、 小寺 さん から 2 目 の
1:05:54メール が 届き まし た 。 彼女 は 部長 と 相談 し
1:05:58、 急者 を 3 つ に 分け た と 書い て い まし た 。
1:06:01すぐ 再 が 必要 な 会社 、 発注み込み を 先 に
1:06:04示す 会社 、 返信 を 待つ 会社 。 その 分類 は 私
1:06:09が 残し た 表 に 沿っ て い まし た 。 私 は そこ
1:06:12だけ は 安心 し まし た けれど 問題 は すでに 外
1:06:16へ 出 て い ます 。 相手 に 1度 不安 を 与え た 後
1:06:20で 全て を 元通り に する こと は でき ませ ん 。
1:06:23特に 川 メーカー の 返信 は 重い もの でし た 。
1:06:26条件 が 決まる まで 次 の 季節 分 の 枠 は 確保
1:06:30でき ない 。 小寺 さん は その 内容 を 日本 語 で
1:06:33まとめ て い まし た 。 私 は その 会社 の 名前 を
1:06:36見 た 瞬間 、 ホテル 向け の 特 を 思い出し まし
1:06:40た 。 柔らかい 手触り と 色合わせ の 厳し さ で
1:06:43選ば れ た 川 です 。 そこ が 止まれ ば 使用 確認
1:06:47の 予定 が 後ろ へ ずれ ます 。 予定 が ずれれ ば
1:06:50別 の 部材 に も 影響 し ます 。 私 は その 日 だけ
1:06:54語学 学校 の 午後 の 自習 を 休み まし た 。 会社
1:06:57の ため で は あり ませ ん 。 自分 が 残し た 資料
1:07:00の 意味 を もう 1度 確かめる ため です 。
1:07:03ノート を 開き 急者 の 関係 を 簡単 に 書き出し
1:07:07まし た 。 川 、 石材 、 金属 、 髭 、 塗装 、
1:07:13それぞれ が 別々 に 見え て も 1 つ の ホテル
1:07:15向け具 で は つがり ます 。 一社 の 返事 が 遅れ
1:07:18た だけ なら まだ 調整 でき ます 。 しかし 、
1:07:22同じ 分面 で 旧車 へ 一斉 に 不安 を 投げ た なら
1:07:25、 相手 は 他者 の 動き も 気 に し ます 。 神 や
1:07:28インテリア が 本当 に 来 の 発注 量 を 維持 する
1:07:31の か 、 品質 を 同じ に 保つり な の か 、 支払い
1:07:35条件 まで 変える つもり な の か 、 それ を 会社
1:07:38が 先 に 説明 し なけれ ば 相手 は 枠 を 他者 へ
1:07:41回す か も しれ ませ ん 。 私 は そこ まで 考え て
1:07:44ノート を 閉じ まし た 。 ここ から 先 は 会社 が
1:07:48自分 で 説明 する しか あり ませ ん 。 夕方
1:07:51五老ニャ の 市場 を 得出 まし た 。 野菜 を 買う
1:07:54人 たち の 声 が 通り に 重なっ て い まし た 。
1:07:57小さな 店 の 主人 は 私 が 片 で 注文 し て も 待っ
1:08:02て くれ ます 。 その 時間 の 遅 さ に 最初 は
1:08:05戸惑り まし た けれど 、 相手 の 顔 を 見 て
1:08:08確かめ ながら 進む こと は 何 も 遠回り で は
1:08:11あり ませ ん 。 私 は 神袋 を 抱え て 部屋 へ 戻り
1:08:15まし た 。 携帯 に は 小寺 さん から の 新しい
1:08:19通知 が あり まし た 。 懸命 だけ が 見え まし た
1:08:22。 生産 枠 保留 の 剣 。 私 は すぐ に 開か ず 買っ
1:08:26て き た 野菜 を 台所 へ 置き まし た 。 昔 なら
1:08:30買い物袋 を 持っ た まま で も 返信 し て い た と
1:08:32思い ます 。 で も 今 は 違い ます 。 私 は 退職 し
1:08:37た 人間 です 。 会社 の 緊急 は 私 の 生活 の
1:08:41真ん中 へ 自動 的 に 入っ て くる もの で は あり
1:08:43ませ ん 。 手 を 洗い 夕食 の 準備 を し て から
1:08:47改めて メール を 開き まし た 。 内容 は 予想
1:08:50より 重い もの でし た 。 川 メーカー だけ で
1:08:53なく 金属 部品 の 会社 も 一部 の 枠 を 保留 し
1:08:57たい と 伝え て き た そう です 。 理由 は 来期 の
1:09:00数量 と 価格 条件 が 確定 し て い ない ため です
1:09:03。 小野寺 さん は 最後 に こう 書い て い まし た
1:09:06。 最初 に 一斉 メール を 送る 前 に もっと 確認
1:09:10す べき でし た 。 その 一分 を 見 て 私 は 目 を
1:09:13閉じ まし た 。 彼女 が 悪い の で は あり ませ ん
1:09:16。 判断 し た 人 が い て 従っ た 人 が い ます 。 で
1:09:20も 結果 を 最初 に 受け止める の は 大抵 現場 の
1:09:24人 です 。 私 は 返信 し まし た 。 小寺 さん 1人
1:09:28の 責任 で は あり ませ ん 。 ただ 今後 は 高等 で
1:09:32は なく 判断 者 と 確認 内容 を 必ず メール に
1:09:35残し て ください 。 会社 と し て 決め た こと を
1:09:38会社 と し て 説明 できる 形 に し て ください 。
1:09:41送信 し た 後 、 私 は 日本 の 携帯 を 机 の
1:09:45引き出し に しまい まし た 。 その 夜 、
1:09:47ボローニャ の 金 が 遠く で なり まし た 。 日本
1:09:50で は 予定 が 少し ずつ 崩れ 始め て い まし た
1:09:54けれど 、 その 崩れ を 私 が 両手 で 受け止める
1:09:57時間 は もう 終わっ て い まし た 。 翌朝 、 私 は
1:10:01日本 の 携帯 を 机 の 上 に 置か ず 鞄 の 内ち
1:10:04ポケット へ 入れ まし た 。 前 の 夜 から 通知 が
1:10:07続い て い た から です 。 ボローニャ の 部屋 は
1:10:10静か でし た 。 窓 の 外 で は 近く の 店 が 鉄 の
1:10:13シャッター を上げる 音 が し て い まし た 。 私
1:10:16は まず 自分 の ノート を 開き まし た 。 退職 前
1:10:20に 持ち帰っ た もの で は なく 、 会社 へ 残し た
1:10:23資料 を 作る ため に 自分 の 確認 用 と し て
1:10:25書き直し た の です 。 そこ に は 旧者 それぞれ
1:10:29の 条件 の つがり が 簡単 な 言葉 で 残っ て い
1:10:32まし た 。 川 の 会社 は 堪能 機 の 枠 と 最低 数量
1:10:36。 金属 部品 の 会社 は 品質 保障 と 生産 枠 。
1:10:41積材 の 会社 は 使用 の 言い 方 と 色村 の 許容
1:10:44範囲 。 どれ も 私 が 相手 に 好か れ て い た から
1:10:48続い た わけ で は あり ませ ん 。 相手 も 商売 と
1:10:50し て 再散 と 信用 を 守っ て い た の です 。 午前
1:10:54の 授業 が 終わる と 大橋 部 長 から オン ライン
1:10:57面談 の 依頼 が 届い て い まし た 。 見命 は
1:11:01イタリア 取引 先 対応 に つい て 私 は 時間 を 1
1:11:05つ だけ 指定 し て 返し まし た 。 日本 時間 の
1:11:08夕方 なら こちら は 午前 です 。 その 時間 を
1:11:11過ぎる 面談 は 受け られ ませ ん と も 書き まし
1:11:13た 。 昔 なら 相手 の 都合 に 合わせ て 夜 で も 朝
1:11:17で も つい で い まし た けれど それ を また
1:11:20始めれ ば 私 は 退職 し た 意味 を 自分 で 薄め て
1:11:24しまい ます 。 約束 の 時間 に 画面 を 開く と
1:11:27部長 と 己の寺 まゆ さん が 並ん で 移り まし た
1:11:29。 2人 の 後ろ に は 見慣れ た 会議 室 の 白い 壁
1:11:33が あり まし た 。 部長 は いつ も より 疲れ た 顔
1:11:36を し て い まし た 。 藤崎 さん 時間 を 取っ て
1:11:40くれ て ありがとう 。 今日 確認 できる 範囲 で
1:11:42お 願い し ます 。 私 は そう 言い まし た 。 最初
1:11:46に 線 を 引か なけれ ば 話 は どこ まで も 広がる
1:11:49と 思っ た から です 。 部長 は 旧者 の 反応 を
1:11:53順番 に 説明 し まし た 。 1 社 は 再技 を 求め て
1:11:56い ます 。 2 者 は 生産 枠 を 保留 し て い ます 。
1:12:001 社 は 正式 な 発注 見込み が 出る まで 回答 を
1:12:03止め て い ます 。 私 は 途中 で 口 を 挟み ませ ん
1:12:07でし た 。 相手 の 話 を 最後 まで 聞く の は 今 も
1:12:11私 の 仕事 の 癖 です 。 ただし 聞く こと と
1:12:14聞き受ける こと は 違い ます 。 説明 が 終わる
1:12:17と 部長 は 少し 言い にく そう に 言い まし た 。
1:12:21藤崎 さん から 1度 だけ 先方 へ 連絡 し て
1:12:24もらえ ない か 。 小寺 さん が 画面 の 中 で 視線
1:12:27を 下げ まし た 。 私 は その 様子 を 見 て から
1:12:31答え まし た 。 それ は でき ませ ん 。 部長 の 口
1:12:34が 止まり まし た 。 前 の 関係 で 少し 落ち着か
1:12:38せ て もらう だけ で も でき ませ ん 。 同じ 言葉
1:12:41を 私 は もう 1度 言い まし た 。 声 を 荒げる
1:12:44必要 は あり ませ ん でし た 。 ここ で 曖昧 に
1:12:47すれ ば 会社 は また 私 を 窓口 に 戻し ます 。
1:12:51部長 、 私 は 手元 の 脳 と 閉じ まし た 。 取引 先
1:12:56は 私 に 切り立て し て いる わけ で は あり ませ
1:12:58ん 。 部長 は 画面 の 中 で 前 を 寄せ まし た 。 で
1:13:02も 藤崎 さん が 担当 し て い た 時 は 返事 が
1:13:06早かっ た 。 返事 が 早かっ た の は 先 に 確認 す
1:13:10べき 条件 を 出し て い た から です 。 私 は 川 の
1:13:13会社 を 例 に 出し まし た 。 発注 見込み を 示し
1:13:16て 最低 数 料 を 確認 し て その 後 で 価格 の 話 を
1:13:20し て い まし た 。 小寺 さん が 慌て て メモ を
1:13:23取り 始め まし た 。 今 必要 な の は 私 が 頼む
1:13:27こと で は あり ませ ん 。 会社 と し て 何 を
1:13:30変える の か を 決め て から 説明 する こと です
1:13:32。 部長 は 黙り まし た 。 画面越し の 沈黙 は
1:13:37会議 室 より 長く 感じ まし た 。 私 は 続け まし
1:13:40た 。 1 割 下げ たい なら 数量 を どう する の か
1:13:43。 納期 の 枠 を 維持 し たい なら 何 を 相手 に
1:13:47保証 する の か 。 品質 保障 を 広げ たい なら
1:13:50どこ まで 価格 に 反映 さ せる の か 。 それ を
1:13:53決め ず に 全 みたい に し て 欲しい と は 言え
1:13:55ませ ん 。 小寺 さん が 顔 を あげ まし た 。 で は
1:14:00私たち は 何 から 確認 すれ ば いい です か ?
1:14:03その 聞き 方 は 助け を 丸投げ する もの で は
1:14:06あり ませ ん でし た 。 自分 で 進める ため の
1:14:08足場 を 探し て いる 声 でし た 。 私 は 少し 考え
1:14:12て から 答え まし た 。 まず 旧者 へ 同じ 返事 を
1:14:15し ない こと です 。 はい 。 再議 を 求め た 会社
1:14:19に は 発注 見込み と 変更 し たい 条件 を 分け て
1:14:22返す こと 。 枠 を 保留 し た 会社 に は いつ まで
1:14:26に 数量 を 確定 できる か を 示す こと 。 回答 が
1:14:29止まっ て いる 会社 に は せかす 前 に こちら の
1:14:32文面 で 不安 を 与え た 点 を 整理 する こと 。 私
1:14:36は そこ で 言葉 を 切り まし た 。 ただし これ は
1:14:39私 の 助言 で は なく 退職 前 に 残し た 資料 の
1:14:42読み 方 です 。 小寺 さん は 頷き まし た 。 部長
1:14:47も 小さく 牌 と 言い まし た 。 その 返事 で 私 の
1:14:51中 の 線 が また 1 本 太く なり まし た 。 私 は
1:14:55会社 の 判断 を 代わり に する 人間 で は あり
1:14:57ませ ん 。 面談 の 終わり に 部長 が 言い まし た
1:15:00。 セ務 は 先方 が 藤崎 さん 個人 に こだわっ て
1:15:04いる と 見 て いる 。 私 は すぐ に 返事 を し ませ
1:15:07ん でし た 。 その 言葉 に は まだ 会社 の 逃げ道
1:15:11が 残っ て い まし た 。 取引 先 が 私 を 慕っ て
1:15:14いる から 問題 が 起き て いる 。 そう 考えれ ば
1:15:17会社 の 一斉 値下げ 方針 は 間違っ て い ない
1:15:20こと に なり ます 。 私 は 画面 を 見 た まま 静か
1:15:24に 言い まし た 。 違い ます 。 向こう は 担当 者
1:15:27の 名前 で は なく 約束 の 中身 を 見 て い ます 。
1:15:31担当 者 が 変わっ た なら 条件 を 確認 し直す の
1:15:34は 当然 です 。 部長 は 目 を 伏せ まし た 。 小寺
1:15:39さん は メモ を 取る 手 を 止め ませ ん でし た 。
1:15:42私 は 最後 に 伝え まし た 。 この 面談 の 内容 は
1:15:45部長 から 車内 へ 共有 し て ください 。 私 が
1:15:48個別 に 説明 し た 形 に は し ない で ください 。
1:15:51部長 は 少し 間 を 置い て 承知 し まし た と 言い
1:15:55まし た 。 そこ で 私 は 通話 を 終え まし た 。
1:15:58画面 が 暗く なる と 部屋 に また ボローニャ の
1:16:01生活 音 が 戻り まし た 。 遠く で スクーター が
1:16:04走り 、 隣 の 部屋 で 食器 を 置く 音 が し まし た
1:16:07。 私 は しばらく 椅子 に 座っ た まま でし た 。
1:16:11昔 の 私 なら 通話 の 後 すぐ に 各者 へ の 分案 を
1:16:15作っ て い た でしょう 。 川 の 会社 に は この
1:16:18言い 方 、 石材 の 会社 に は この 順番 。 金属
1:16:21部品 の 会社 に は この 確認 。 そう やっ て 会社
1:16:25が 決め きれ ない ところ を 自分 の 時間 で 埋め
1:16:28て き まし た 。 で も その 積み重ね が いつ の 間
1:16:32に か 当然 に なっ て い まし た 。 そして 最後 に
1:16:35は 少与 で も やめ ない だろう と いう 見込み に
1:16:37つがっ た の です 。 私 は ノート を 閉じ て 棚 へ
1:16:41戻し まし た 。 必要 な 説明 は し まし た 。 それ
1:16:44以上 は 会社 の 仕事 です 。 夕方 小寺 さん から
1:16:49会社 の メール を 転送 し た 報告 が 届き まし た
1:16:51。 部長 で 急者 へ の 再 確認 方針 を 車内 共有 し
1:16:56た そう です 。 判断 者 を 担当 役員 まで 上げる
1:16:59こと 、 核 者 別 に 条件 を 分ける こと 、 退職 者
1:17:03へ 直接 交渉 を 依頼 し ない こと 。 その 3 点 が
1:17:06書か れ て い まし た 。 私 は その 文 を 読ん で
1:17:10初めて 小さく 頷き まし た 。 完璧 で は あり
1:17:13ませ ん 。 遅く も あり ます 。 それ で も 会社 の
1:17:17問題 が 会社 の 記録 へ 戻っ た こと は 確か な
1:17:20変化 でし た 。 私 は 返信 に 確認 し まし た と
1:17:24だけ 書き まし た 。 その 後 日本 の 携帯 の 電源
1:17:27を 切り まし た 。 窓 を 開ける と 夕方 の 冷たい
1:17:31空気 が 入っ て き まし た 。 取引 先 と の 関係 を
1:17:34戻す の は 私 の 役目 で は あり ませ ん 。 会社 が
1:17:38自分 で 説明 し 、 自分 で 信用 を 積み直す しか
1:17:41ない 。 その 当たり前 の こと を 私 は ようやく
1:17:45自分 に も 許せる よう に なっ て い まし た 。 3
1:17:47月 に 入る と ボローニャ の 朝 の 光 は 少し
1:17:50柔らかく なり まし た 。 私 は 語学 学校 の
1:17:53帰り道 に 小さな 分布 店 へ 寄り まし た 。 次 の
1:17:57滞在 先 を フィレンツ に する か どう か 予定 を
1:18:00書き込む 手帳 が 欲しかっ た から です 。 店 の
1:18:03奥 で 薄い 表紙 の 手帳 を 選ん で いる 時 使用 の
1:18:06メール が 震え まし た 。 差し出し 人 は 大橋 部
1:18:10長 でし た 。 礼 に は ホテル 案件 の 確認 と あり
1:18:14まし た 。 私 は 店 の 外 へ 出 て から 画面 を 開き
1:18:18まし た 。 メール に は 欧州 の 高級 ホテル
1:18:21チェーン から 追加 質問 が 来 た と 書か れ て い
1:18:24まし た 。 以前 から 神や インテリア が 最終
1:18:27先行 に 残っ て い た 大型 案件 です 。 複数 年 の
1:18:31取引 で 金額 は およそ 250億円 。 私 も 退職
1:18:35前 に 素材 の 調達 見込み だけ は 何 度 か 資料 へ
1:18:38入れ て い まし た 。 ホテル 側 が 気 に し て いる
1:18:41の は 欧州 の 継続 性 でし た 。 イタリア を 含む
1:18:45供給 もう 誰 が どう 統括 する の か 。 主要 な
1:18:49会社 と の 条件 は いつ 確定 する の か 。 その 2
1:18:53つ を 正式 に 説明 し て 欲しい と いう 内容 でし
1:18:56た 。 私 は 店 の 前 の 石団 に 腰 を 下ろし まし た
1:19:00。 通り で は 自転 車 に 乗っ た 人 が ベル を
1:19:03鳴らし て 通り すぎ まし た 。 250億円 と
1:19:06いう 数字 は 私 の 暮らし と は もう 直接 関係 の
1:19:10ない もの です 。 それ で も その 数字 の 背後 に
1:19:13ある ヤブ の 流れ は 手 に 取る よう に 想像 でき
1:19:16まし た 。 川 の 枠 が 止まれ ば 椅子 の 針 が
1:19:19決まり ませ ん 。 金属 部品 が 遅れ ば 特 の
1:19:23取っ手 や 客部 の 使用 確認 も 止まり ます 。
1:19:26積材 の 色合わせ が ずれれ ば 客室 ごと の 統一
1:19:29感 に 影響 し ます 。 ホテル 側 が 心配 する の は
1:19:33当然 でし た 。 私 は 部長 の メール を もう 一度
1:19:36読み まし た 。 最後 に こう あり まし た 。 現状
1:19:40を どう 説明 す べき か 助言 だけ で も もらえ
1:19:43ない だろう か 。 その 一分 を 見 て 私 は 手帳 の
1:19:46表紙 を 指 で なぞり まし た 。 助言 だけ 。 会社
1:19:50に い た 頃 その 言葉 の 後 に どれ ほど 多く の
1:19:53作業 が 続い た か を 思い出し まし た 。 部屋 へ
1:19:56戻っ て から 私 は 返信 を 書き まし た 。 ホテル
1:20:00側 へ 説明 する 前 に 会社 と し て 確定 し て いる
1:20:03事実 と まだ 未 確定 の 事実 を 分け て ください
1:20:06。 主要 な 急者 と の 条件 確定 、 判断 者 、 大体
1:20:11案 の う を 一覧 に し て ください 。 私 が ホテル
1:20:14側 へ 直接 説明 する 立場 で は あり ませ ん 。 文
1:20:17は それ だけ に し まし た 。 2度 読み直し て
1:20:20から 送信 し まし た 。 私 は 冷たい 人間 に なり
1:20:23たい わけ で は あり ませ ん けれど 、 未定 の
1:20:27まま 相手 を 安心 さ せる 言葉 を 作れ ば それ は
1:20:30また 現場 へ 重く 帰っ て き ます 。 会社 が 守る
1:20:33べき 信用 は 退職 し た 私 の 口先 で 支え られる
1:20:36もの で は あり ませ ん 。 その 日 の 夕方 小寺
1:20:40まゆ さん から も メール が 届き まし た 。 彼女
1:20:42は 急別 の 一覧 を 作り 始め た と 書い て い まし
1:20:46た けれど 空 が 多い そう です 。 見込み 、 数量
1:20:51の 確定日 、 価格 の 上限 担当 や員 の 判断 どれ
1:20:56も 専務 の 1 割 削減 方針 だけ で は 生まり ませ
1:20:59ん 。 小寺 さん の 文面 に は 焦り が 滲ん で い
1:21:03まし た 。 私 は 彼女 へ 短く 返し まし た 。 空 を
1:21:07無理 に 埋め ない で ください 。 未 確定 なら 未
1:21:10確定 と 書き 、 誰 が いつ 決める の か を 確認 し
1:21:13て ください 。 それ が 今 できる 1番 正直 な
1:21:17生理 です 。 更新 し た 後 、 私 は しばらく が 面
1:21:21を 見 て い まし た 。 彼女 が 悪い の で は あり
1:21:23ませ ん 。 空 を 作っ た の は 判断 を 先 に せ ず
1:21:28値下げ の 号例 だけ を 出し た 会社 です 。 翌日
1:21:31から 連絡 の 量 が 増え まし た 。 部長 から は
1:21:34社長 へ の 説明 資料 を 作る こと に なっ た と
1:21:37いう メール が 来 まし た 。 小寺 さん から は
1:21:40金属 部品 の 会社 が 回答 期限 を 求め て いる と
1:21:43連絡 が あり まし た 。 人事 の 高瀬 ゆ さん から
1:21:46も 退職 時 の 経緯 確認 と いう 件命 で 短い
1:21:50メール が 届き まし た 。 私 は その メール を 見
1:21:53て 手 を 止め まし た 。 人事 が 今更 経緯 を 確認
1:21:56する 理由 は 私 に は 分かり ませ ん 。 ただ 会社
1:22:00の 中 で 何か が 部署 の 外 へ 出 た こと だけ は
1:22:03分かり まし た 。 私 は 高瀬 さん へ 事実 だけ を
1:22:06返し まし た 。 年末 商与 が 0円 だっ た こと 。
1:22:10人事 窓口 で 入力 ミス で は ない と 確認 さ れ た
1:22:13こと 。 来年度 も イタリア 急者 の 担当 予定 で
1:22:16ある と 申請 フォーム で 回答 を 受け た こと 。
1:22:20退職 届け は 1 月 に 提出 し 会社 が 受理 し た
1:22:23こと 。 余計 な 感情 は 書き ませ ん でし た 。
1:22:26高瀬 さん から は 承知 し まし た と いう 返信
1:22:29だけ が 来 まし た 。 その 短 さ が 帰っ て 重く
1:22:33見え まし た 。 3 日 後 、 私 は フィレンツ へ
1:22:36移り まし た 。 駅 を 出る と 石作り の 建物 が
1:22:40夕方 の 色 に 染まっ て い まし た 。 予約 し た
1:22:42部屋 は 古い 建物 の 3 階 で 階段 が 少し 急 でし
1:22:46た 。 荷物 は ダン ボール で は なく スーツ
1:22:49ケース 1 つ と 手下げ だけ です 。 日本 で あれ
1:22:52ほど 悩ん で 手放し た もの が ここ で は
1:22:54持ち上げ られる よう に なっ て い まし た 。
1:22:57部屋 の 窓 から は 細い 路地 が 見え まし た 。 私
1:23:00は 母 の 写真 を 机 に 置き 水 を いっぱい 飲み
1:23:03まし た 。 その 時 日本 の 携帯 が なり まし た 。
1:23:07電源 を 入れ た まま に し て い た の は 銀行 や
1:23:10手続き の 連絡 を 受ける ため です 。 画面 に は
1:23:13社長 室 と 表示 さ れ て い まし た 。 私 は すぐ に
1:23:16は 出 ませ ん でし た 。 呼び出し 音 が 止まる
1:23:19まで 机 の 上 の 写真 を 見 て い まし た 。 着信 が
1:23:23切れる と 留守番 電話 の 通知 が 残り まし た 。
1:23:26留守番 電話 は 社長 室 の 女性 から でし た 。
1:23:30神や 高一 社長 が 退職 の 経緯 に つい て 直接 話
1:23:34を 聞き たい 。 都合 の 良い に 知事 を 知ら せ て
1:23:36欲しい 。 その 声 は 丁寧 でし た けれど 、 私 は
1:23:41会社 が ようやく 別 の 場所 を 見 始め た の だ と
1:23:44感じ まし た 。 商与 を 伝え た あの 日 、 人事 の
1:23:47窓口 で 終わっ て い た 話 が 3 ヶ月 近く 経っ て
1:23:50社長 室 へ 届い て いる 。 それ は 私 の ため で は
1:23:54なく 会社 が 困っ た から か も しれ ませ ん 。
1:23:57それ で も 経営 の 人間 が 事実 を 確認 する
1:24:00ところ まで 来 た こと は 前 と は 違い まし た 。
1:24:04私 は 留守番 電話 を 保存 し まし た 。 を し て
1:24:07すぐ に は 折り返し ませ ん でし た 。 昔 なら
1:24:10社長 室 と いう 名前 だけ で 背筋 を 伸ばし その
1:24:13場 で 電話 を 返し た と 思い ます 。 今 の 私 は
1:24:17まず 自分 の 予定 を 見 まし た 。 語学 学校 不
1:24:21動産 売却 の 確認 。 車 の 売却 代金 の 入金 予定
1:24:25。 どれ も 私 の 生活 を 作り直す ため の 時間
1:24:29です 。 夜 大橋 部長 から 短い メール が 来 まし
1:24:33た 。 社長 から 藤崎 さん の 退職 理由 を 確認
1:24:37する よう 言わ れ て い ます 。 商与 の 件 も 資料
1:24:40と し て 提出 する こと に なり まし た 。 私 は
1:24:43その 文 を 読み 胸 の 奥 が 静か に 沈む の を 感じ
1:24:47まし た 。 ようや です か と は 書き ませ ん でし
1:24:50た 。 代わり に 私 は 社長 室 へ 返信 し まし た 。
1:24:54オン ライン で あれ ば 来週 の 午前 中 に 30 分
1:24:57だけ 対応 でき ます 。 事実 確認 で あれ ば 手元
1:25:01に 残っ て いる 書類 に 基づい て 話し ます 。
1:25:04復色 や 取引 先 へ の 直接 交渉 を 前提 と し た
1:25:07面談 は 受け られ ませ ん 。 送信 し て から 窓 を
1:25:11開け まし た 。 フィレンツ の 夜 の 空気 が 路時
1:25:14から 上がっ て き まし た 。 会社 の 問題 は もう
1:25:17現場 の 調整 だけ で は 済ま なく なっ て い まし
1:25:19た 。 そして 私 の 退職 理由 も ようやく 会社 の
1:25:241番 上 へ 届こう と し て い まし た 。 指定 し た
1:25:27時間 の 5 分 前 、 私 は 机 の 上 を 片付け まし た
1:25:30。 フィレンツ の 部屋 に は 丸い 机 と 椅子 が
1:25:33あり ます 。 机 の 橋 に は 商与 、 担当 予定 表 、
1:25:38申請 フォーム の 回答 、 退職 届け 授業 の
1:25:41メール を 置き まし た 。 相手 が 社長 だ から と
1:25:44言っ て 記憶 だけ で 話す つもり は あり ませ ん
1:25:47でし た 。 窓 の 外 で は 朝 の 配達 者 が 石畳 を
1:25:51進ん で い まし た 。 日本 は 夕方 です 。 私 は
1:25:54画面 の 前 に 座り 、 約束 の 時刻 を 待ち まし た
1:25:58。 3 分 ほど 前 に 社長 室 から 接続 案内 が 届き
1:26:02まし た 。 画面 を 開く と 神や 高一 社長 が 移り
1:26:06まし た 。 64 歳 入社 式 や 全車 会議 で 何 度 も
1:26:10見 た 人 です が 、 こう し て 1 対 1 で 話す の は
1:26:13初めて でし た 。 社長 は 最初 に 頭 を 下げ まし
1:26:17た 。 藤崎 さん 、 この 度 は 本当 に 申し訳 あり
1:26:20ませ ん でし た 。 私 は すぐ に は 返事 を し ませ
1:26:24ん でし た 。 謝罪 より 先 に 何 を 確認 し た の か
1:26:28を 聞く 必要 が あり まし た 。 社長 、 私 は 手元
1:26:32の 紙 を 1 枚 抑え まし た 。 今日 は 事実 確認 と
1:26:36し て お 受け し て い ます 。 はい 。 社長 は 顔 を
1:26:39あげ まし た 。 その つもり です 。 復色 や 取引
1:26:43先 へ の 直接 交渉 が 前提 なら この 場 で は お
1:26:46話し でき ませ ん 。 分かっ て い ます 。 社長 の
1:26:50声 は いつ も より 低く 感じ まし た 。 まず 私 が
1:26:54知ら なかっ た こと を お 伝え し ます 。 その
1:26:56言い 方 で 私 は 背筋 を 伸ばし まし た 。 社長 は
1:27:01手元 の 資料 を 見 ながら 話し まし た 。 私 の
1:27:04年末 の 商与 が 0円 だっ た こと を 社長 は 退職
1:27:07後 しばらく 知り ませ ん でし た 。 海外 調達
1:27:10部職 者 が 出 た こと は 報告 さ れ て い た そう
1:27:12です けれど 理由 は 一心 上 の 都合 と し て
1:27:16上がっ て い まし た 。 ホテル 案件 の 説明 資料
1:27:19を 作る 中 で 退職 時 の 経緯 を 改めて 確認 し 、
1:27:23そこ で 初めて 商与 の 数字 を 見 た と 言い まし
1:27:25た 。 私 は 社長 の 目元 を 見 まし た 。 驚い て
1:27:29いる よう に も 悔ん で いる よう に も 見え まし
1:27:32た けれど その 内心 を 私 が 決める こと は でき
1:27:36ませ ん 。 分かる の は 社長 の 声 が 何 度 か
1:27:39途切れ た こと だけ でし た 。 人事 に も 確認 し
1:27:42まし た 。 社長 は 続け まし た 。 藤崎 さん が
1:27:45窓口 で 入力 ミス で は ない か と 聞い た こと も
1:27:48記録 に 残っ て い まし た 。 私 は 頷き まし た 。
1:27:52私 も 手帳 に 残し て い ます 。 担当 範囲 の 確認
1:27:56申請 も 見 まし た 。 はい 。 来年度 も イタリア
1:28:00急者 の 担当 と 回答 さ れ て い ます 。 社長 は
1:28:03そこ で 短く 息 を 吐き まし た 。 この 2 つ が
1:28:07並ん で いる 時点 で 経営 と し て おかしい 。
1:28:10その 言葉 を 聞い て も 胸 が すぐ 軽く なる こと
1:28:13は あり ませ ん でし た 。 おかしい こと は 私 に
1:28:16は あの 日 から 分かっ て い まし た 。 ただ それ
1:28:19を 会社 が 認める まで に 私 の 生活 は もう
1:28:22大きく 動い て い まし た 。 私 は 用意 し て い た
1:28:26紙 を めくり まし た 。 少夜 ゼロ の 理由 は 確認
1:28:30でき た の でしょう か ? 社長 は 少し 間 を 起き
1:28:33まし た 。 でき まし た 。 その 短い 返事 で 部屋
1:28:37の 空気 が 変わっ た 気 が し まし た 。 社長 は
1:28:40画面 共有 で 一部 を 黒く 塗っ た 車内 メール を
1:28:43見せ まし た 。 個人 名 や 宛て先 の 一部 は 伏せ
1:28:46られ て い まし た 。 それ で も 送信 者 が 神や を
1:28:50未戦務 で ある こと は 分かる 形 でし た 。 日付
1:28:53は 商与 の 最終 確認 が 行わ れ た 週 です 。 社長
1:28:57は 読み上げる 前 に 言い まし た 。 必要 な 範囲
1:29:00だけ お 伝え し ます 。 私 は 頷き まし た 。 お
1:29:05願い し ます 。 社長 は 最初 の 文 を 読み まし た
1:29:09。 藤崎 に は 今回 は ゼロ で いい 。 画面 の 中 の
1:29:13文字 は 短く 乾い て い まし た 。 私 は 自分 の 指
1:29:17が 紙 の 橋 を 抑え て いる こと に 気づき まし た
1:29:20。 社長 は 次 の 分 へ 進み まし た 。 少し 危機 感
1:29:24を 持た せる 。 その 時与 明迷彩 を 見 た 日 の
1:29:28違和 感 が ようやく 形 を 持ち まし た 。 評価 の
1:29:31結果 で は なく 私 を 動かす ため の 圧力 。 そう
1:29:35いう 意味 の 言葉 でし た 。 社長 は 最後 に もう
1:29:39一 個 を 読み まし た 。 住宅 老音 も ある 。 43
1:29:42歳 で 今更 やめ ない でしょう 。 声 に 出さ れ た
1:29:45その 一分 で 私 は 目 を 伏せ まし た 。 驚き より
1:29:49先 に 静か な 疲れ が 来 まし た 。 怒鳴り たい
1:29:52気持ち で は あり ませ ん 。 泣き たい 気持ち で
1:29:55も あり ませ ん 。 ああ 、 そこ まで 安く 見 られ
1:29:58て い た の だ と ただ 理解 し た だけ でし た 。 私
1:30:01は 商与 が ゼロ だっ た から やめ た の で は あり
1:30:03ませ ん 。 その 数字 の 後ろ に 自分 は 逃げ ない
1:30:07。 自分 は 逆らわ ない 。 自分 は 生活 を 人質 に
1:30:11取ら れれ ば 黙る と いう 見込み が あっ た から
1:30:13やめ た の です 。 社長 は しばらく 黙っ て い
1:30:16まし た 。 画面越し で も その 沈黙 が 軽い もの
1:30:20で は ない こと は 分かり まし た 。 藤崎 さん
1:30:23はい 。 これ は 会社 と し て 見過ごせ ない 判断
1:30:27でし た 。 私 は すぐ に は 答え ませ ん でし た 。
1:30:31その 言葉 を 聞く ため に 私 は 待っ て い た わけ
1:30:34で は あり ませ ん 。 もう 待つ こと 自体 を やめ
1:30:37た 後 でし た 。 確認 し て いただい た こと は
1:30:40分かり まし た 。 私 は そう 言い まし た 。 ただ
1:30:44私 の 退職 は 取り消し ませ ん 。 社長 は
1:30:48ゆっくり 頷き まし た 。 当然 だ と 思い ます 。
1:30:51その 上 で 2 つ 確認 さ せ て ください 。 私 は
1:30:55時計 を 見 まし た 。 事実 確認 の 範囲 で あれ ば
1:30:591 つ 目 は 聞き継ぎ 資料 に つい て です 。 社長
1:31:02は 別 の 資料 を 開き まし た 。 更新 全 確認 一覧
1:31:07を 見 まし た 。 基本 的 な 確認 先 と 注意 点 は
1:31:10そこ に 残し て い ます 。 私 は 答え まし た 。
1:31:14ただし それ を 読ん だ 人 が すぐ 交渉 できる と
1:31:17いう 意味 で は あり ませ ん 。 わかり まし た 。
1:31:202 つ 目 は 専務 の 1 割 削減 方針 に つい て です
1:31:23。 方針 その もの が 絶対 に 間違い と は 思い
1:31:27ませ ん 。 ただ 一律 と 言う出し 方 が 危険 でし
1:31:30た 。 なぜ です か ? 各者 が 守っ て いる 条件 が
1:31:34違う から です 。 私 は もう 何 度 も 説明 し た
1:31:37内容 を 今度 は 社長 へ 向け て 短く 話し まし た
1:31:40。 価格 を 下げる なら 数量 、 納期 品質 保障 、
1:31:46生産 枠 の どれ を 動かす の か 決める 必要 が
1:31:48ある こと 。 それ を 決め ない まま 相手 へ
1:31:51投げれ ば 供給 猛 の 安定 訂生 を 自分 たち で
1:31:54疑わ せる こと 。 ホテル 側 の 質問 は そこ を
1:31:57つい て いる こと 。 社長 は 途中 で 口 を 挟み
1:32:00ませ ん でし た 。 面談 の 終わり に 社長 は 言い
1:32:04まし た 。 今日 の 内容 を 車内 で 正式 に 扱い
1:32:07ます 。 私 は 退職 者 と し て 確認 さ れ た 範囲 を
1:32:11お 話しし まし た 。 はい 。 社長 は 頭 を 下げ
1:32:15まし た 。 藤崎 さん に 会社 が 甘え て い た こと
1:32:19も 含め て こちら で 責任 を 取り ます 。 責任 と
1:32:22いう 言葉 が 画面越し に 少し 重く 落ち まし た
1:32:26けれど それ で 私 の 3 ヶ月 が 戻る わけ で は
1:32:29あり ませ ん 。 私 は 机 の 上 の 商与 明細 を 見
1:32:33まし た 。 0円 の 数字 は 今 も そこ に あり ます
1:32:36。 で も その 数字 の 意味 は 変わり まし た 。
1:32:40単なる 低い 評価 で は あり ませ ん 。 私 を やめ
1:32:43ない 人間 と し て 扱っ た 証 でし た 。 だ から
1:32:46こそ 私 は やめ た の です 。 社長 、 私 は 最後 に
1:32:51言い まし た 。 今後 会社 と し て 必要 な 確認 が
1:32:55ある 場合 は 社長 室 から 文書 で お 願い し ます
1:32:58。 分かり まし た 。 使用 の 携帯 部署 から 直接
1:33:02連絡 が 続く 形 は 止め て ください 。 社長
1:33:05はっきり と 頷き まし た 。 通話 が 終わる と
1:33:09画面 は 黒く なり まし た 。 私 は しばらく その
1:33:13黒い 画面 を 見 て い まし た 。 こと で は
1:33:16フィレンツ の 朝 が いつ も の 速 さ で 進ん で い
1:33:18まし た 。 会社 の 中 で ようやく 事実 が 社長 の
1:33:22前 に 置か れ まし た 。 私 は その 事実 を 知っ た
1:33:25後 で も 戻ら ない 自分 を 初めて はっきり 認め
1:33:28まし た 。 社長 と の 面談 を 終え た 後 、 私 は
1:33:32しばらく 机 の 前 から 動け ませ ん でし た 。
1:33:35画面 は もう 黒く なっ て いる の に そこ に
1:33:37さっき の 文字 が 残っ て いる よう でし た 。
1:33:4043 歳 で 今更 やめ ない でしょう 。 声 に 出さ
1:33:43れ た その 一分 は 商与 の 0円 より も ずっと
1:33:47深く 私 の 奥 に 沈み まし た 。 私 は 机 の 上 の
1:33:51書類 を 1 枚 ずつ 揃え まし た 。 少与細彩 、
1:33:54担当 予定 表 、 人事 の 回答 、 退職 届け 事業 の
1:33:59メール 、 どれ も 紙 と し て は 薄い もの です 。
1:34:02それ で も 私 が 自分 を 疑わ ず に 住む だけ の 重
1:34:05さ が あり まし た 。 その 日 の 午後 、 私 は 日本
1:34:08の 携帯 を 久し ぶり に 充電 し まし た 。
1:34:11イタリア で 使う 形態 と は 別 に し て い た ため
1:34:14、 電源 を 切っ て いる 時間 が 長く なっ て い
1:34:16まし た 。 銀行 や 不 動産 の 手続き で 必要 な 時
1:34:20だけ 入れる つもり でし た 。 充電 の 表示 が
1:34:23少し ずつ 増え 、 やがて が 面 が 明るく なり
1:34:25まし た 。 最初 に 出 た の は 未 確認 の 通知 でし
1:34:29た 。 次 に 着信 履歴 が 一気 に 表示 さ れ まし た
1:34:33。 私 は 思わ ず 指 を 止め まし た 。 312 件
1:34:38数字 だけ が 画面 の 上 に 淡々 と 並ん で い まし
1:34:41た 。 人事 長 達 部 大橋 部 長 社長 室 登録 し て い
1:34:47ない 会社 の 代表 番号 そして 神や 高一 社長 の
1:34:52名前 も あり まし た 。 私 は 携帯 を 置き ませ ん
1:34:55でし た 。 ただ すぐ に 折り返す こと も し ませ
1:34:58ん でし た 。 昔 の 私 なら 最初 の 一件 で 慌て て
1:35:02い た と 思い ます 。 会社 から 何 度 も 電話 が 来
1:35:05て いる 。 誰 か が 困っ て いる 。 すぐ 確認 し
1:35:08なけれ ば なら ない 。 そう 考え て 食事 の 途中
1:35:12で も 休日 で も 母 の 病院 へ 向かう 電車 の 中 で
1:35:16も 私 は 返信 し て き まし た 。 で も 今 は 違い
1:35:20ます 。 312 件 の 着信 は 私 の 義務 を 示す
1:35:24数字 で は あり ませ ん 。 会社 が 私 を い ない
1:35:28もの と し て 扱え ない ところ まで 来 た と いう
1:35:30記録 です 。 私 は 着信 履歴 を 画面 で 確認 し 、
1:35:34必要 な 範囲 だけ に 知事 を メモ し まし た 。
1:35:37証拠 を 集める ため と いう より 自分 の 反射 を
1:35:40止める ため でし た 。 数字 に 驚い て 走り出す
1:35:43の で は なく 数字 を 見 て から 選ぶ その 練習 を
1:35:47私 は 戒まし て いる の だ と 思い まし た 。 夕方
1:35:51社長 室 から メール が 届き まし た 。 名 は 今後
1:35:54の 連絡 方法 に つい て 社長 名 で 私 へ の 部署
1:35:58から の 直接 連絡 を 止め 、 必要 な 確認 は 社長
1:36:02室 を 通し て 文書 で 行う と 書か れ て い まし た
1:36:04。 私 は その 文面 を 読ん で 少し だけ 息 を 吐き
1:36:09まし た 。 遅 すぎる 対応 で は あり ます けれど
1:36:12、 少なく とも 使用 の 携帯 へ 現場 から 助け を
1:36:16求める 流れ は 1度 止まり ます 。 続け て 大橋
1:36:19部長 から 短い メール が 来 まし た 。 今後 は
1:36:22社長 室 経由 に し ます 。 小寺 さん に も 伝え
1:36:26まし た 。 ご 迷惑 を お かけ し まし た 。 それ
1:36:29だけ でし た 。 私 は すぐ に 返信 せ ず 窓 の 外 を
1:36:33見 まし た 。 フィレンツ の 路ジ に は 夕方 の 人
1:36:36の 声 が 重なっ て い まし た 。 日本 の 会議 室 の
1:36:39空気 と は 遠く 離れ た 音 でし た 。 夜 私 は 社長
1:36:44室 へ 返信 し まし た 。 今後 の 連絡 は 文書 で お
1:36:48願い し ます 。 使用 形態 へ の 電話 に は 対応
1:36:51でき ませ ん 。 退職 前 に 残し た 資料 の 範囲 で
1:36:54確認 できる こと は 文書 で 回答 し ます 。 取引
1:36:58先 へ の 直接 連絡 、 交渉 、 車内 判断 の 代行 は
1:37:02行い ませ ん 。 書い て みる と とても 短い 文章
1:37:06でし た けれど その 短 さ に たどり着く まで 私
1:37:10は 17 年 かかっ た 気 が し まし た 。 誰 か を
1:37:13困ら せ ない よう に 、 現場 が 止まら ない よう
1:37:16に 、 会社 の 信用 が 傷つか ない よう に 、 そう
1:37:19やっ て 増え て いっ た 仕事 の 橋 を 私 は 自分 の
1:37:22手 で 切り まし た 。 送信 ボタン を 押す と 、 机
1:37:26の 上 の 日本 の 携帯 が 静か に なっ た よう に
1:37:28見え まし た 。 翌朝 、 私 は 小さな バール へ
1:37:32行き まし た 。 店 の 中 に は 立っ た まま
1:37:35コーヒー を 飲む 人 が 何 人 も い まし た 。 私 は
1:37:38カウンター の 橋 に 立ち 、 温かい カップ を
1:37:41両手 で 包み まし た 。 会 の 金 が 遠く で なり
1:37:44まし た 。 その 音 を 聞い た 時 、 画面 に 並ん だ
1:37:48312 件 の 数字 が 少し と 奥下がり まし た 。
1:37:52着信 が 遅かっ た の で は あり ませ ん 。 会社 が
1:37:55私 を 見よう と し た 時 に は 私 は もう 会社 の 中
1:37:58に は い ませ ん でし た 。 戻る 場所 で は なく
1:38:01思い出す 場所 に なりかけ て い まし た 。 私 は
1:38:04母 の 写真 を 入れ た 小さな 封筒 を 鞄 の 中 で
1:38:07確かめ まし た 。 母 なら 何 と 言う だろう 。
1:38:11想像 は でき て も 答え は 分かり ませ ん 。 ただ
1:38:15遠く へ 行き なさい と いっ た 声 だけ は 今 も
1:38:18覚え て い ます 。 昼 過ぎ 社長 室 から 次 の 面談
1:38:21以来 が 届き まし た 。 内容 は 今後 の 協力 範囲
1:38:25と 条件 に つい て 復職 を 前提 に し た もの で は
1:38:29ない と 書か れ て い まし た が 、 私 は その 一分
1:38:32を その まま 信じる ほど もう 単純 で は あり
1:38:34ませ ん でし た 。 私 は 返信 の 前 に 依頼 内容 を
1:38:383 つ に 分け まし た 。 事実 確認 。 資料 の 読み
1:38:42方 の 説明 。 取引 先 と の 交渉 。 受け られる の
1:38:46は 最初 の 2 つ だけ です 。 3 つ 目 は 受け ない
1:38:49。 その 線 を メール の 本文 に 明記 し まし た 。
1:38:53時間 も こちら の 午前 中 30 分 以内 と し まし
1:38:56た 。 日本 の 都合 で 夜 を 開ける こと は 申し
1:38:59ませ ん 。 その メール を 送っ た 後 、 私 は 語学
1:39:03学校 の 宿題 を 開き まし た 。 同詞 の 活用 は
1:39:06難しく 何 度 も 間違え まし た 。 それ で も
1:39:10間違い は 私自身 の もの でし た 。 会社 の 穴 を
1:39:13埋める ため の 夜更かし と は 違い ます 。 午後
1:39:16の 早い 時間 、 私 は 留守番 電話 の 案内 も 変え
1:39:19まし た 。 これ まで は 電話 に 出 られ ない 時 は
1:39:22折り返し ます と いう だけ の 短い でし た 。 私
1:39:26は 録音 し直し まし た 。 業務 に 関する ご 連絡
1:39:29は 文書 で お 願い いたし ます 。 自分 の 声 を
1:39:33再生 する と 少し 固く 聞こえ まし た 。 それ で
1:39:36も その 硬 さ で 良い と 思い まし た 。 優しい 声
1:39:40で 何 で も 受け止める 必要 は もう あり ませ ん
1:39:42。 保存 ボタン を 押し た 瞬間 、 使用 の 携帯 は
1:39:46会社 の 呼び出し 口 で は なくなり まし た 。
1:39:49小さな 設定 変更 な の に 外 から 確認 できる
1:39:52境い目 が でき まし た 。 その 日 の 夜 日本 の
1:39:55携帯 を もう 1度 見 まし た 。 新しい 着信 は
1:39:59あり ませ ん でし た 。 代わり に 社長 室 から
1:40:02面談 に 知事 の 確定 メール が 届い て い まし た
1:40:04。 私 は 予定 表 を へ 入れ まし た 。 と し て 日本
1:40:08の 携帯 の 通知 音 を 切り まし た 。 完全 に
1:40:11捨てる わけ で は あり ませ ん 。 必要 な 手続き
1:40:14も 残っ て い ます けれど 、 呼ば れ た 瞬間 に
1:40:18反応 する 道具 で は なくなり まし た 。 机 の 上
1:40:21に 置い た 携帯 は ただ の 機械 に 見え まし た 。
1:40:24私 は 明り を 消す 前 に 312 件 と 書い た メモ
1:40:28の 音 に 挟み まし た 。 それ は 会社 の 混乱 の
1:40:31記録 で ある と 同時 に 私 が もう 戻ら ない ため
1:40:34の 目印 で も あり まし た 。 翌室 と の 面談 で
1:40:39会社 は 私 に 正式 な 条件 を 示す こと に なり
1:40:42ます 。 で も その 時 に は もう 私 の 中 の 答え は
1:40:46決まっ て い まし た 。 社長 室 と の 面談 は
1:40:49こちら の 昨時 に 始まり まし た 。 日本 で は
1:40:52夕方 でし た 。 私 は フィレンツ の 部屋 で 机 の
1:40:56上 に 書類 を 4 枚 だけ 置き まし た 。 同彩 、
1:41:00担当 予定 表 、 人事 の 回答 、 退職 届け 事業 の
1:41:04メール 、 前回 より 神 は 増やし ませ ん でし た
1:41:07。 話 を 広げ すぎれ ば 会社 は また 私 の 時間 を
1:41:11当然 の よう に 使い 始める と 思っ た から です
1:41:13。 画面 に は 神や 高一 社長 と 社長 室 の 担当 者
1:41:18が 映っ て い まし た 。 大橋 こと 部 長 の 姿 は
1:41:21あり ませ ん でし た 。 社長 は 最初 に 深く 頭 を
1:41:25下げ まし た 。 藤崎 さん 、 本日 は お 時間 を
1:41:28いただき ありがとう ござい ます 。 30 分 で
1:41:32お 願い し ます 。 私 は 先 に 時間 を 区切り まし
1:41:35た 。 社長 は 頷き まし た 。 分かっ て い ます 。
1:41:39その 返事 を 聞い て も 私 は 安心 し ませ ん でし
1:41:42た 。 会社 員 だっ た 頃 の 私 は その 一言 を 信じ
1:41:46て 結局 1 時間 も 2 時間 も 使っ て き た から
1:41:49です 。 社長 は まず 会社 側 の 対応 を 説明 し
1:41:53まし た 。 部署 から 使用 の 携帯 へ 直接 連絡
1:41:57する こと は 止め た そう です 。 ホテル 案件 に
1:41:59つい て は 担当 役員 と 社長 室 で 状況 を 整理 し
1:42:03て いる と 言い まし た 。 さらに 神 未戦務 の
1:42:07一立 値下げ 方針 は 社長 決済 の 前 に 1度
1:42:10止める と も 言い まし た 。 専務 に は 欧州 調達
1:42:13の 判断 から 外れ て もらい ます 。 社長 は 短く
1:42:17そう 告げ まし た 。 私 は 表情 を 変え ない よう
1:42:21に し まし た 。 それ が 車内 で どれ ほど 重い
1:42:23こと な の か 私 に は 正確 に は 分かり ませ ん 。
1:42:27ただ 専務 が 守ろう と し て い た 弁固 と 方針 が
1:42:30その まま 通ら なく なっ た こと だけ は 分かり
1:42:32まし た 。 社長 は 続け まし た 。 藤崎 さん が
1:42:36残し た 資料 を 読み まし た 。 はい 。 これ を
1:42:40もっと 早く 会社 の 仕組み に す べき でし た 。
1:42:43私 は そこ で 小さく 頷き まし た 。 過去 を 悔む
1:42:46言葉 は 聞け ば 胸 が 動き ます 。 で も それ だけ
1:42:50で は 何 も 戻り ませ ん 。 社長 は 1 枚 の 資料 が
1:42:54面 に 移し まし た 。 そこ に は 新しい 条件 案 が
1:42:58並ん で い まし た 。 給与 の 見直し 、 役職 の
1:43:02親設 、 欧州 長 達出 室長 と いう 方 が き 、 年末
1:43:06商与 の 最査 住居 の 準備 支援 どれ も 3 ヶ月 前
1:43:11に は 存在 し なかっ た もの です 。 私 は 画面 を
1:43:14見 た まま すぐ に は 言い ませ ん でし た 。 もし
1:43:18あの 日 の 前 に この 扱い が あっ た なら 、 もし
1:43:21商与 の 前 に 私 の 仕事 を 会社 の 仕組み と し て
1:43:24見直し て い た なら 、 そう いう 考え が 少し
1:43:28だけ 頭 を かめ まし た けれど 、 それ は 今 の
1:43:31答え で は あり ませ ん 。 社長 は 言い まし た 。
1:43:35戻っ て き て いただけ ませ ん か ? 社長 室 の
1:43:38担当 者 は 画面 の 橋 で 息 を 詰める よう に 座っ
1:43:41て い まし た 。 私 は 手元 の 商与 明細 を 見 まし
1:43:44た 。 そこ に は 今 も 0円 と イさ れ て い ます 。
1:43:49戻り ませ ん 。 私 は 短く 答え まし た 。 社長 は
1:43:53まぶ を 1度 伏せ まし た 。 商与 の 件 は 全額
1:43:57見直し ます 。 社長 私 は 声 を 急が せ ませ ん
1:44:02でし た 。 商与 が 0 だっ た から やめ た ん じゃ
1:44:04ない ん です 。 社長 は 黙り まし た 。 ゼロ に し
1:44:08て も やめ ない 人間 だ と 思わ れ て い た から
1:44:10やめ た ん です 。 その 言葉 を 言っ た 時 、 自分
1:44:14の 声 が 思っ た より 静か な こと に 気づき まし
1:44:16た 。 社長 は 長く 息 を 吐き まし た 。 その 通り
1:44:20です 。 会社 は 藤崎 さん に 甘え て い まし た 。
1:44:24私 は すぐ に は 返事 を し ませ ん でし た 。 認め
1:44:28られ た から と 言っ て 傷 が 消える わけ で は
1:44:30あり ませ ん 。 それ で も 相手 が 初めて 逃げ ず
1:44:34に 受け止め た こと は 分かり まし た 。 私 は
1:44:37取引 先 へ 電話 し て 全 みたい に し て あげ て と
1:44:40は 言い ませ ん 。 社長 は 顔 を あげ まし た 。
1:44:44分かっ て い ます 。 もし 私 が 協力 する なら
1:44:47外部 の 立場 で 資料 の 読み 方 と 確認 項目 を
1:44:50説明 する だけ です 。 それ で も お 願い し たい
1:44:54条件 が あり ます 。 私 は 用意 し て い た 文章 を
1:44:58読み上げ まし た 。 期間 は 2 週間 、 面談 は
1:45:02合計 3 回 まで 。 連絡 は 社長 室 から 文書 で
1:45:05行う こと 。 取引 先 と の 交渉 は 会社 の 社員 が
1:45:09行う こと 。 私 の 名前 を 相手 先 へ の 説得 材料
1:45:14と し て 使わ ない こと 。 費用 は 外部 業務 と し
1:45:17て 支払う こと 。 社長 は 1 つ ずつ メモ を 取り
1:45:21まし た 。 承諾 し ます 。 高等 で は なく 書面 で
1:45:25お 願い し ます 。 もちろん です 。 その
1:45:28やり取り で 私 は 初めて 少し 方 の 力 を 抜き
1:45:31まし た 。 会社 の お 願い を 会社 の 手続き に
1:45:34戻せ た から です 。 現談 の 後半 で 社長 は 大橋
1:45:38部長 と 小寺 まゆ さん に つい て 触れ まし た 。
1:45:412人 に は 私 へ 直接 頼ら ない よう 改めて 伝え
1:45:45た そう です 。 小寺 さん に は 判断 を 1人 で
1:45:48しわ せ ない 体制 を 作る と も 言い まし た 。 私
1:45:51は その 言葉 だけ は 受け止め まし た 。 小寺
1:45:54さん を 責め ない で ください 。 社長 はっきり
1:45:58頷き まし た 。 彼女 の 責任 で は あり ませ ん 。
1:46:02現場 の 人 が 上 の 判断 の 穴 を 埋める 形 に し
1:46:05ない で ください 。 そう し ます 。 私 は そこ で
1:46:09少し だけ 安心 し まし た 。 公認 を 守る こと は
1:46:12私 が 最後 に 会社 へ 残し たい もの の 1 つ でし
1:46:15た けれど それ も 私 が 戻る 理由 に は なり ませ
1:46:19ん 。 私 は もう 社員 で は ない から です 。 約束
1:46:23の 30 分 が 近づく と 社長 は 最後 に 言い まし
1:46:26た 。 藤崎 さん 会社 と し て もっと 早く
1:46:30引き止める べき でし た 。 私 は 窓 の 外 を 見
1:46:33まし た 。 フィレンツ の 朝 は 昨日 と 同じ よう
1:46:36に 進ん で い ます 。 下 の 路地 で は 誰 か が 店 の
1:46:40前 に 水 を 巻い て い まし た 。 引き止める
1:46:42タイミング は 商与 を 出し た 後 で は あり ませ
1:46:45ん でし た 。 私 は 画面 へ 視線 を 戻し まし た 。
1:46:49ゼロ に する 前 です 。 社長 は 黙っ て 頷き まし
1:46:52た 。 この 人 なら やめ ない と 決めつける 前
1:46:55です 。 その 言葉 の 後 、 私 は 通話 終了 の
1:46:58ボタン へ 手 を 伸ばし まし た 。 書面 が 届い
1:47:01たら 確認 し ます 。 ありがとう ござい ます 。
1:47:05社長 の 返事 を 聞い て 、 私 は 通話 を 終え まし
1:47:08た 。 画面 が 消え た 後 、 部屋 に は 自分 の 呼吸
1:47:11だけ が 残り まし た 。 私 は 机 の 上 の 書類 を
1:47:15片付け 、 商与 明迷彩 だけ を 最後 に ファイル
1:47:18へ 入れ まし た 。 もう それ を 見 て 自分 を
1:47:21振い立た せる 必要 は あり ませ ん けれど 、
1:47:24捨てる に は まだ 早い と 思い まし た 。 昼前
1:47:27社長 室 から 正式 依頼 書 が メール で 届き まし
1:47:30た 。 内容 は 私 が 伝え た 範囲 に 沿っ て い まし
1:47:34た 。 私 は 修正 点 を 2 つ だけ 返し まし た 。
1:47:38交渉 代行 は 行わ ない こと 。 私 の 使用 連絡 先
1:47:42を 車内 共有 し ない こと 。 その 2 点 が 入っ た
1:47:45修正 版 を 確認 し 、 私 は 承諾 の 返信 を し まし
1:47:49た 。 それ は 復職 で は あり ませ ん 。 会社 に
1:47:53戻る 扉 で は あり ませ ん 。 私 が 外 から 線 を
1:47:56引い た まま 必要 な 部分 だけ 引き継ぎ の 続き
1:47:59を する と いう 決定 でし た 。 その 夜 日本 の
1:48:02携帯 に 着信 は あり ませ ん でし た 。 代わり に
1:48:06社長 室 から 文書 が 一通 届い た だけ でし た 。
1:48:09ようやく 会社 の 呼び 方 が 変わり まし た 。 私
1:48:12は 携帯 を 防い 明日 の 語学 学校 の 宿題 を 開き
1:48:16まし た 。 社長 室 から の 正式 な 依頼 を 受け た
1:48:19後 、 私 は 2 週間 だけ 外部 支援 を し まし た 。
1:48:23最初 の 面談 で は 旧者 それぞれ の 条件 を 順番
1:48:27に 並べ直し まし た 。 価格 を 下げ たい 会社 、
1:48:31数量 を 先 に 示す べき 会社 品質 保障 の 範囲 を
1:48:34確認 す べき 会社 生産 枠 を 急い で 抑え直す
1:48:38べき 会社 それ ら を 同事 表 の 中 で 分け まし た
1:48:42。 画面 の 向こう に は 神や 高一 社長 と 大橋 部
1:48:46長 と 小寺 まゆ さん が い まし た 。 神 やたお
1:48:50未戦務 の 姿 は あり ませ ん でし た 。 私 は その
1:48:54こと に 触れ ませ ん でし た 。 会社 の 人事 や
1:48:56処分 を 私 が 知る 必要 は もう ない から です 。
1:49:00ただ 資料 の 読み 方 だけ を 説明 し まし た 。
1:49:03この 会社 へ は 最初 に 値下げ の 話 を し ない で
1:49:06ください 。 先 に 来期 の 数量 と 納期 を 示す
1:49:10必要 が あり ます 。 小寺 さん は 何 度 も メモ を
1:49:14取り まし た 。 部長 は 途中 で 小さく 頭 を 下げ
1:49:17まし た 。 私 は それ に も 深く 反応 し ませ ん
1:49:21でし た 。 感謝 や を 受け取る ため に 外部 支援
1:49:24を 引き受け た わけ で は あり ませ ん 。 必要 な
1:49:27引き継ぎ を 会社 の 記録 へ 戻す ため でし た 。
1:49:302 回 目 の 面談 で は ホテル 案件 に 関わる 条件
1:49:34だけ を 確認 し まし た 。 私 は 取引 先 へ 送る 分
1:49:38案 を 作り ませ ん でし た 。 代わり に 分案 を
1:49:41作る 時 に 確認 する 項目 を 一覧 に し まし た 。
1:49:45確定 し て いる 発注 、 未 確定 の 価格 条件 、
1:49:49回答 機限 判断 者 、 大 体 案 の う 、 それ を 空 の
1:49:54まま に し て は いけ ない と 伝え まし た 。 空 を
1:49:57綺麗 な 言葉 で 隠さ ない で ください 。 私 は
1:50:00そう 言い まし た 。 社長 は 画面 の 向こう で
1:50:03静か に 頷き まし た 。 未 確定 なら 未 確定 と
1:50:07書く 。 はい 。 その 上 で いつ 誰 が 決める の か
1:50:12を 書い て ください 。 これ は 私 が 17 年 かけ
1:50:16て 身 に つけ た 仕事 の 基本 でし た 。 相手 を
1:50:18安心 さ せる 言葉 は 事実 の 後 に 来る もの です
1:50:21。 事実 の 前 に 置け ば いつ か 信用 を 削り ます
1:50:25。 3 回 目 の 面談 の 最後 に 社長 が 言い まし た
1:50:29。 藤崎 さん から 先方 へ 一言 だけ添え て
1:50:32いただく こと は でき ませ ん か ? その 声 に は
1:50:35最初 の 面談 ほど の 強 さ は あり ませ ん でし た
1:50:38。 それ で も 私 は 首 を 横 に 振り まし た 。 でき
1:50:42ませ ん 。 さん が 少し 顔 を あげ まし た 。 私 は
1:50:46続け まし た 。 私 が 前 みたい に お 願い し ます
1:50:49と 言え ば その 場 は 少し 楽 に なる か も しれ
1:50:52ませ ん 。 で も それ で は 会社 が 自分 で 関係 を
1:50:56戻し た こと に なり ませ ん 。 社長 は 目 を 伏せ
1:50:59まし た 。 私 は 最後 に 言い まし た 。 関係 を
1:51:03戻す の は 恩社 の 仕事 です 。 その 言葉 を 言っ
1:51:06た 時 、 胸 の 奥 が 静か に 整い まし た 。
1:51:10冷たくつき 話し た の で は あり ませ ん 。 必要
1:51:13な 場所 へ 責任 を 返し た だけ です 。 面談 の
1:51:16記録 は 社長 室 から 文書 で 届き まし た 。
1:51:20支払い の 手続き も 外部 業務 と し て 処理 さ れ
1:51:23まし た 。 その 確認 を 終え た 日 、 私 は
1:51:26ファイル を 閉じ まし た 。 神や インテリア の
1:51:28仕事 は そこ で 終わり まし た 。 その 後 ホテル
1:51:32案件 が どう なっ た の か 詳しい こと は 知り
1:51:35ませ ん 。 大橋 部長 から 社長 室 経由 で 1度
1:51:38だけ 短い 報告 が あり まし た 。 旧 と の 最強 は
1:51:42続い て い ます 。 小寺 さん は 判断 を 1人 で
1:51:46抱え ず に 進め て い ます 。 それ だけ でし た 。
1:51:49私 は 良かっ た です ね と も 残念 でし た ね と も
1:51:53返し ませ ん でし た 。 確認 し まし た 。 それ
1:51:56だけ を 書き まし た 。 会社 に は 会社 の 結果 が
1:51:59あり ます 。 私 に は 私 の 生活 が あり ます 。
1:52:03その 2 つ を まず ない こと が 私 に とっ て の
1:52:06新しい 礼儀 でし た 。 春 の 終わり 。 私 は
1:52:09ミラノ の 展示 会 へ 行き まし た 。 イタリア と
1:52:12日本 を つぐ 小さな 調達 支援会社 の 手伝い を
1:52:16始め て い た から です 。 前 の 会社 より ずっと
1:52:19小さな 会社 です 。 大きな 会議 室 も 肩書き の
1:52:23並ぶ 組織図 も あり ませ ん 。 それ で も 仕事 の
1:52:26進め 方 は はっきり し て い まし た 。 できる
1:52:29こと 、 でき ない こと 、 いつ まで に 決める
1:52:32こと 、 誰 が 責任 を 持つ こと 、 それ を 最初 に
1:52:35確認 し て から 動き ます 。 私 は 展示 会場 で
1:52:39木材 の サンプル を 手 に 取り 、 担当 者 の 説明
1:52:42を 聞き まし た 。 香り の 残る 薄い 板 を 指 で
1:52:45なぞる と 、 昔 の 自分 なら この 場 で 夜 の 日本
1:52:49へ 報告 し て い た と 思い まし た 。 今 は 決め
1:52:52られ た 時間 に 決め られ た 相手 へ だけ 報告 し
1:52:55ます 。 それ で 仕事 は 十分 に 進み まし た 。 誰
1:52:58か の 会社 の ため に 自分 の 夜 を 差し出さ なく
1:53:01て も 良い の です 。 現事 会 の 休憩所 で 私 は 母
1:53:05の 写真 を 入れ た 小さな 封筒 を 鞄 から 出し
1:53:08まし た 。 人 に 見せる ため で は あり ませ ん 。
1:53:11自分 の 手元 に ある こと を 確かめ たかっ た
1:53:14だけ です 。 母 は 生き て い た 頃 1度 だけ 私 に
1:53:17言い まし た 。 レーナ いつ か 仕事 じゃ なく て
1:53:22自分 の ため に 遠く へ 行き なさい 。 その 時 の
1:53:25私 は 笑っ て 答え まし た 。 丁寧 し たら ね 。 母
1:53:29は それ 以上 何 も 言い ませ ん でし た 。 ただ
1:53:32少し 困っ た よう に 笑い まし た 。 私 は ずっと
1:53:36その 笑顔 の 意味 を 考え ない よう に し て い
1:53:38まし た 。 今 なら 少し だけ 分かり ます 。
1:53:41待てる 人 ほど 自分 の 番 を 後ろ へ 送っ て
1:53:44しまう の です 。 私 は 43 歳 で ようやく 自分
1:53:48の 番 を 前 へ 戻し まし た 。 その 日 の 夕方 展示
1:53:52会場 を 出る と ミラノ の 空 は 薄く 持っ て い
1:53:55まし た 。 同僚 が 軽い 調子 で 聞き まし た 。
1:53:59さっき なっ て い た の 前 の 会社 です か ? 私 は
1:54:02携帯 の 画面 を 見 まし た 。 表示 さ れ て い た の
1:54:05は 新しい 取引 先 の 名前 でし た 。 神 や
1:54:09インテリア で は あり ませ ん 。 社長 室 で も
1:54:11あり ませ ん 。 違い ます 。 私 は そう 答え て
1:54:15携帯 を ポケット へ 入れ まし た 。 返事 は 後 で
1:54:19決め た 時間 に すれ ば いい 。 そう 思える こと
1:54:21が 私 に は まだ 少し 新鮮 でし た 。 312 件 の
1:54:26着信 を 見 た 朝 から いく つ も の 手続き を 超え
1:54:29て 私 は ここ に い ます 。 あの 着信 が 遅かっ た
1:54:32の で は あり ませ ん 。 私 を 引き止める
1:54:35タイミング は もっと 前 に 終わっ て い まし た
1:54:37。 商与 を 0円 に する 前 、 住宅 ローン が ある
1:54:41から やめ ない と 決めつける 前 、 仕事 の 重み
1:54:44を 1人 の 我慢 で 支えれ ば いい と 思う 前 。
1:54:48その 時 に もう 道 は 別れ て い た の です 。 夜
1:54:52部屋 へ 戻っ て から 私 は 日本 の 携帯 を 机 の
1:54:55引き出し に しまい まし た 。 捨てる わけ で は
1:54:58あり ませ ん 。 必要 な 手続き が 残る 間 は まだ
1:55:01持っ て おき ます けれど 、 もう 呼び出し 音 に
1:55:05生活 を 渡す 道具 で は あり ませ ん 。 私 は 窓 を
1:55:08開け まし た 。 外 から 食器 を 片付ける 音 と 人
1:55:12の 笑い声 が 聞こえ まし た 。 明日 の 予定 は
1:55:15午前 に 展示 会 の 確認 。 午後 に 語学 の 復讐 。
1:55:19夜 は 近所 の 店 で 少し 早め に 夕食 を 取る 。
1:55:23それ だけ です 。 小さな 予定 ばかり でし た 。
1:55:26で も その 小さ さ が 今 の 私 に は 大切 でし た 。
1:55:31誰 か に 安く 見積もら れ た 人生 を また 大きな
1:55:34肩書き で 埋める 必要 は あり ませ ん 。 私 は
1:55:37自分 で 選ん だ 1 日 を 自分 の 手 の 中 へ 戻し
1:55:40たかっ た の です 。 机 の 上 に は 母 の 写真 が
1:55:44あり ます 。 私 は その 前 に 今日 買っ た 小さな
1:55:47白い 花 を 置き まし た 。 遠く まで 来 た よ 。 声
1:55:51に 出す と 部屋 は 静か でし た 。 その しけ さ の
1:55:54中 で 私 は 初めて もう また なく て いい の だ と
1:55:58思い まし た 。